投稿日: Jun 20, 2012 12:50:18 AM
いまだPC向けコンテンツが主なのだが…
近年は自作PCというとゲーマー御用達のようなビデオ機能がモンスター化したマシンくらいしか話題にならないが、動画とか特定用途ではやはり8コアのような専用ワークステーションというのがあるし、またストレージ用のローカルサーバというような特定用途のものが自作の醍醐味になっているのだろう。これは相当マニアックな世界であって、PCの月刊雑誌は入門以外はなかなか成立しにくくなってきた。マイクロソフトがタブレットを発表したのは、これに止めをさすような出来事だ。
つまり一般的な用途のPCにおいては、もう何年も性能競争はなくなっているので、PCは枯れた分野になってしまったということである。PCの特徴は標準化されたパーツによって、部品の取替えとかアップグレードが自由に出来ることであった。しかし性能競争がなければアップグレードで部品の取替えをする理由はほとんどなくなってしまう。ノートPCはそもそも部品の取替えができないので、デスクトップPCに対してサブ機的な役割で登場したが、もう日常使用するPCはノートが中心になり、さらにWindowsの世界もクラウドへ傾斜するタブレットになると、一般の人がデスクトップに触れる機会はほぼなくなってしまうだろう。
PCが2年ごとくらいのペースで機能向上を果たしてきたことは凄いことであったし、今からも技術的な進展はあるのだが、もはやデータセンタでスパコンのような処理がされる時代にあっては、ローカルなパソコンやタブレットですべき処理は表示くらいしかなく、それもGPUあるいはGPUを内蔵したCPUが行うので、PCもカーナビもデジタルサイネージもタブレットも画面の大きさが違うだけで、次第に構造は同じになりつつある。これは10数年前からPCをワンチップ化しようという指向があったのが、ほぼ実現しつつあるともいえる。
考えてみるとPCのワンチップ化のようなコンパクト化は、LSIチップだけでできることではなかった。雑多なインタフェースをシンプルにすることであるとか、フラッシュメモリの驚異的な進歩とかいろいろな要素が合わさったからこそ、今日のタブレットがあるわけで、このタブレットのケースの中でこれ以上回路を圧縮しても意味はなく、後はバッテリの負担を減らすために省電力くらいしか開発余地はないだろう。そのためにもネットワーク利用やクラウド化というのが重要になる。
ところがアプリケーションの方はまだクラウド時代に追いついていない。またデータ・コンテンツも他人の管理するクラウドに任せっぱなしにはできないでいる。ソーシャルメディアの登場以前のコンピュータ利用は、eBookもPC向けに作ったコンテンツがどかっとあるとか、一度再構築しないとクラウドには移れないだろう。