投稿日: Nov 18, 2013 12:39:55 AM
化かし合いは続く
以前通販で送られてきたオセチが仕様とあまりにも違いすぎて問題になったことがあったが、その時も謳い文句と実際に使われていた素材の違いがあったように思う。それに比べるとホテルなどの食品やメニューの偽装問題は別段被害があるわけではなく、どちらかというと面白おかしく語られているネタ的ニュースのように思える。というのは、真剣に取り組んでも解決できない問題がそこには多くあると思えるからだ。つまり偽装の奥は深い。むしろ情報としては伝えられないことは多くあり、そこのところをイメージの演出を加えるという表現上の形容は一般にあるからだ。演出のやりすぎで違法になる場合は論外だが、そこまで行かなくても商業モラルとしてはどうか、というところは線が引き難い。
お見合い写真やタレントの写真できれいに化粧をしているとか、レタッチが施されていても、スッピンとは異なるということで問題になるだろうか。お見合いはどうせ本人に会ってから判断するので、写真だけが決め手になるのではないから写真の役割は限定的である。タレントの場合は本人と交流することはないだろうから、イメージそのものが商品であって本人のスッピンがどうであってもいいはずである。いずれにしても、写真に演出はされているということは承知の上で見られているはずである。つまりここにもリテラシー問題がある。
写真というものが真実を写したものではなく、架空のイメージを如何様にも操作できるものであることは今日では知れわたっているが、写真にあるもののうち、どこが実像でどこが虚像かを見分けることは、見る人が見ればわかるが一般の人には簡単に判別できない。ネット上にある「面白写真」の類には相当数の合成とかレタッチ加工をしたものが出回っていて、それらに対する人々の反応をみていると、信用している人の方が多い。「びっくり動画」ですら合成はよくある。つまり多くの「いいね」がついた「面白写真」がウソで成り立っていることはしばしばある。
商業で扱う場合はウソはいけないが、極めて紛らわしい表現を使うことは多くおこなわれている。これも生活者のリテラシー問題が関係していて、私などは何度聞いても、はなかつお:かつおぶし、マグロの大間:大間々、のような類は区別ができない。その程度の感覚からすると、ブラックタイガーもバナメイもクルマエビ科だから一緒でいいじゃないかと思ってしまう。私は食材の名称に関してはリテラシーが低いということだろう。
一方で、松阪牛はその出生地は問わずに3年間松阪で飼育されたものを言うらしいが、中国には「松坂牛」があるそうだ。今のところ中国産牛肉を輸入することはないからよいのだろうが、このようなインチキくさい命名以外にも難しい問題を含んでいる。日本と中国で同じ漢字を使っていても、その定義の範囲が異なることがあるかもしれない。英語のサーモンが漢字では鮭と鱒の両方を含んでいるとか、バタフライが蝶と蛾の両方を含んでいるような、外国での定義の違いがあるからだ。日本人の食べるものの過半数が海外から来ているとすると、相当根深い問題があるように思える。
生活者のリテラシー向上によって偽装やインチキを見分けるようにはならないだろうから、結局は売る側は如何に誠実さを示せるかだけしかないのではないか。その点では話題になったホテルやレストランは失格である。