投稿日: Dec 04, 2013 1:1:34 AM
使える組織もあるが…
電車の中でタブレットや電子書籍端末を触っている人を日常的に見かけるようになって、タブレット類も市民権を得たように思えるが、実際に学校や業務用の導入となると意外に進んでいない。iPad登場以来3年以上も経ているのに、あくまで個人の趣味嗜好の範囲でしか使われていないのはどういうことだろうか?
それは組織が情報を扱うというのは情報を提示して終わりになるわけではなく、学校だったら、予習、授業、復習、テスト、補習といった組織的な情報プロセスがあって、そのフローに沿って複数の人がコミュニケーションしたり情報を共有したりしているので、例えば教材制作といった局所的なアプリとは別に、それを何処に置いて誰が管理するかという課題もある。
これらはIT化されているとはいっても、大体はMicrosoftのOfficeの類で日常的に作業されていて、情報のプロセスとかフローという点では人為的FaceToFaceの世界である。このFaceToFaceをネット上のコミュニケーションに置き換えるのは大変なことだ。
ここには2つのアプローチがある。ひとつは今使っているOfficeなどのデータをネット上で行き来できるような仕組みを作ることで、もう1つはOfficeを使うのをやめて、学校なら入試、学籍管理、成績管理、学費納付、などのアプリを全学的に使えるように構築することである。これはいわゆるパーッケージとかオールインワンのソリューションとして提供されがちである。
しかしオールインワンとはいっても一気にすべてをデジタル化する学校もないので、総務の業務範囲、教務の業務範囲といった、エリアを限定したパッケージになる。現状ではおそらくこういったものが検討されている場合が多いであろう。
オールインワンパッケージも過去の専用システムの御仕着せ的なものではなく、ある程度オープンなものでIT環境に柔軟に対応できなければ寿命は短くなってしまうし、開発要求の負荷がかかるとか利用者の不満が高まるとかの難しさがある。特にタブレットになった場合に、ユーザインタフェースが単純化してしまうので、開発側の負担は増える方向にあると思う。こういったシステムは学校でも企業でも万年同じようなことをしている業務では使えると思う。
反対に利用者の要求がまだよく見えていない分野ではアプリのパッケージ化は無理であって、結合・分離の柔軟さやオープンさが重要で、しかもネット上での情報のフローはちゃんと管理できるようなものが欲しいわけだが、その環境はそれなりに出来つつある。今でもクラウドのストレージからビジネスアプリをつかってやろうと思えばできるのだが、利用者のアカウント管理から、データの管理から、フローの設計から、さまざまなオーサリングアプリ・リーダーアプリの検証などなどをすべて人手で行って、みんなで活用するための規約を作る人材の問題に行き着くであろう。
これはオープンソースの宿命ともいえて、社内にそのようなスタッフが居ないなら、外部の専門のSIerに頼らざるを得ず、その経費の損得を考えると今すぐ飛びつくことにはならないという状況がタブレットの導入においてもあてはまるのではないか。