投稿日: Jul 08, 2015 12:32:43 AM
NHK放送文化研究所の意識調査「日本人とテレビ」の結果によると、1985年から続いていたテレビ視聴時間の長時間化にストップがかかり、日常で2時間以内という人が5年前の39%から44%に増加している。特に面白い傾向として、そもそもテレビを見ない人が各年代共に増えていることで、20代では16%がテレビを見ないという。
ウチは何十年来1日2時間以内で、息子は阪神の試合中継以外はテレビはつけない。大学生になって一人で暮らすようになったときもテレビは買わなかったので、見ない16%に入っているのだろう。野球はスマホで見ていると思う。
数字の大小にどのような意味があるのかわからないが、「持たない」人が若い人で16%も居るということは、「買うに値しない」という判定がされたことは事実だろう。かつてはテレビは身近にあるから見ていたと思う。若い人はアナログテレビの中古を誰かから譲ってもらって見ることが多かった。これは他の家電品などにも共通で、先輩が引越しするとか結婚するなどの時に、周囲の人に分けていた。しかし地デジに移行してアナログテレビが利用できなくなったのを契機に、従来の惰性的視聴慣習が一旦断ち切られたのではないかと思う。
ウチでは休みの日などにレンタルDVDなどを見ることがあるが、録画は慣れていないのでする習慣がないままである。どう考えても放送の内容よりはレンタルの方がコンテンツは遥に充実している。放送局も力を入れて番組を作るなら、放映後にレンタルDVDにしたらいいのではないかと思うくらいである。
つまりテレビの視聴が減ったのは、コンテンツ力の低下なのだから、至極当然というか、仕方がないことで、結局この増減の数字など誰も気にする必要がないものであろう。
クラウドファンディングの手法を使うならば、こういう番組を作ってほしいというリクエストを人々から集めて、それに対して放送局が企画書を出して、コンペでどこかに作ってもらうという方法もありかと思う。これは結構コアなファンがいる趣味嗜好の分野では盛り上がるかもしれない。例えば、クラブツーリズムにはテーマ旅行というのがあって、「さよならホテルオークラ! 特別企画」「高野山開創1200年御開帳特集」「街道フェスタIN日本橋」「河口湖音楽祭2015 オペレッタ鑑賞」「北海道ガーデン街道」などなど、ほぼテレビの番組作りと似たコンセプトの旅行を提供している。これらの企画にも参加者が参画しているとのことで、放送でも視聴者が企画する放送というのもあるかもしれない。
ただし、こういった趣味嗜好のテーマで大きな視聴率が稼げる可能性は低いだろう。だが、放送局がそれぞれ自分の特色を出すようになるとか、CATVなどで地元のイベントとタイアップでするなどにはつながるだろう。GoProで作った番組でもよい場合があるのではないか。今までは放映企画のコンセプトが先にありきで、事実を捻じ曲げてでもプロデューサの考えを通すような番組を作っていたわけだが、そういう目線が通用しなくなっているということではないか。
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