投稿日: Mar 31, 2016 1:5:45 AM
スマホもパソコンも構造的には一緒なのだが、スマホはソフトをまずインストールして、必要な際に起動して使うという区分を感じさせないので、パソコンよりも余計な操作が無いかのように思える。一体型なので当然デバイスのインストールというのもない。このようなスムースな環境にするためには、iPhoneが典型ではあるが技術的には閉鎖的な条件を作り出さなければならない。具体的にはiOSの制約の中でしかアプリは作れないので、技術の進歩の阻害になるのではないかとも思われたが、意外にいろんなことができて、ゲームや音楽プレーヤーやその他細かい携帯ガジェットを喰いながら伸びていった。
iPhoneの成功理由の一つは表示の良さで、これは Steve Jobs の慧眼によるものであった。ただしAppleがDisplay技術を持っているわけではないので、Androidでも同じようなものは作れ、両者はよい競争状態にあったと思う。さてこれからだが、記事『文書モデルからの脱却』では、もはや旧来の文書お踏襲するマルチメディアではなくて、VRやARというところに向うことを書いた。だいたいスマホやタブレットを紙の代わりに使うという発想をする段階で、人間の想像力を押し殺してしまっているので、電子書籍や電子雑誌では革新的なひらめきのあるものは登場しない。
もう表示技術としてはデジタルメディアは紙の代替以上にはなっているが、それは1枚紙で使う場合で、冊子体の代替としては課題が残る。しかしそこに挑戦しても新しい市場は開けないだろう。だいたい冊子体を地上から消し去らなければならない理由もないのだから、もっと建設的にデジタルメディアを考えるべきだ。そこで基本的な発想は冊子体のページの集合という特性から離れることだ。つまりページ区切りが無いメディアとして設計する必要がある。
そもそもWebも『改ページ』というのはなく、『サイトマップ』が示すように文書を構造化したものであった。ただサイトマップのツリー構造はメニューのようにも見え、CUI的なナビゲーションに引っ張られやすいが、VR・ARの世界はGUI的ナビゲーションを主体に使ってもらうものだと思う。
受動的に見ているテレビなどは、ゲームのように能動的に扱えるメディアがたまたま無操作の状態であるというように考えて、動画シーケンスにいろんな情報やインタラクションやリンクやアプリがフックしているという構造にすれば、たいていのデジタルメディアは包含できるだろう。ただデジタルテレビもそうであるが、こういうマルチメディアのOSというのが存在しない。今の段階では用途・目的ごとにOS機能の一部も自分で作らなければならないから、VR・ARマルチメディアは広がりがもてないのだろうと思う。でもラフに考えるとすでにこういったOSの要素技術は出そろっているように思えるのだが…
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