投稿日: Apr 14, 2016 12:34:11 AM
Jimi Hendrix は黒人なので、「黒いジミヘン」というタイトルは間違っているんじゃないかと思われるかもしれないが、音楽の影響という点では、どうしてもハードロックの神様的な扱いが多くて、ジミヘン・フォロワ―とかコピー・カバーというと白人の兄ちゃんバンドの話になってしまうが、実は黒人にもジミヘンの影響を受けたfunkのレコードは、1970年前後にはかなり出ていたのである。
それはバンドとしてのコピーではなく、あくまでレパートリーとしてジミヘン的な演奏を取り入れたモノなので、1980年代になるとあまりなくなってしまう。もっとdiscoよりの演奏が多くなるのである。記事『日本人が多様性を求めているかどうかはしらないが』では、city blues / jazz blues 時代の楽曲がR&Bのスタイルになりsoulのスタイルになっていったように、様式は時代と共に変わったことを書いたが、アメリカの黒人大衆音楽としてみると、ジミヘンのワーワーチャカポコギターもある時代を示すものであったといえるのだろう。
こういうジミヘン風funkはほとんどLPとかCDにはなっていないと思う。それは前述のようにそういうスタイルのバンドが活動していたわけではなく、たまたまそういう録音を残したということで、点在するだけだからである。その証拠に、「あっ!これは相当ジミヘン的だな!」と思っても、45回転盤の反対側は全然違う曲調であったりする。またそれなりに有名なsoul/funkの人もたまにこういった曲調を手掛ける場合があり、例えば Gino Washington のFoxy Walk はジミヘンのFoxy Lady をインストにしたものである。
また一般のsoulファンはジミヘン風の曲調を好まないので話題にならなかったのではないかとも思う。しかし1970年前後には無名の黒人ギタリストが広範にブルースのフレーズをワーワーチャカポコをしてっとやっている。もともとfunkのギターはブルースのコードなので、ブルースのリフをイフェクターを通して演奏すればジミヘン風になってしまうのである。
こういった音楽を聴くと、申し訳ないが Jimi Hendrix のボーカルの力量は大したことは無く、無名のfunkの方が私には魅力的に思えてしまう。
しかし黒いジミヘンの45回転盤ではギターを弾いている時間が短いので、Jimi Hendrix のレコードの価値は別の意味であるのだが…
要するに黒いジミヘンは非常にたくさん居たはずである。ただマイナーなfunkの45回転盤は超ローカルなレコードなので、白人に知られることも無かったし、たとえジミヘンを凌ぐギターの名手が居たとしてもロックに影響を与えることはなかったであろう。それほど人種の壁は1970年頃にはまだ大きなものであったのだ。
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