投稿日: Dec 30, 2010 11:11:21 PM
密室で決められることが多いと思う方へ
昨日韓国の国勢調査の速報がインターネットに出ていた。日本に負けず劣らず高齢化社会になろうとしているように見える。思えば第2次大戦を被っているのだから似た軌跡を辿るのは当然かもしれない。しかし経済成長は7%くらいはあったと思う。
韓国の国勢調査は11月頭に行なわれて12月末に速報が出た。日本は10月に行なって速報は2011年2月であるという。なぜ韓国は2ヶ月なのに日本は4ヶ月もかかるのか? 先般の国勢調査の基本集計は1年後であるという。日本の方が人口が多いから、と考える人もいるかもしれない。しかし工業統計に関してはアメリカに比べて日本は1年遅れて発表されているので、そうともいえない。国際的に見て日本のいびつなところが鮮明になっていると思う。
民主党になって事業仕分けが行われたが、中途半端感は免れない。駆け足の「仕分け」では「なくてもよい」ことが判断できるものを扱っただけで、「制度を変える」検討はできなかったからだ。制度を考えるにはじっくりとした専門的な取り組みが必要だが、国の改革はそこまで至っていない。例えば国際的な課題としてウルグアイラウンドのような関税自由化対応が必要になった場合に、日本は外交がうまく出来ないので、結果をそのまま国内に持ち帰れなくなり、不都合を国民から隠すために社団法人を作って補助金や流通の操作をしていた。これは政治家と役人が結託して作ったメカニズムである。
つまり政治家でも役人でも、それなりに優れた人の集まりであろうし、公的な任務も感じているはずなのに、公的な問題解決に向けてポジティブな連携ができないで、自分たちの不都合を隠す負の連携をしてしまっている。こういう関係が壊されないで存在する以上、いくらITで電子政府がやりやすくなるという環境が出てきたとしても、冒頭のように活用されないいびつさが出てしまうのだろう。記事「サービス工学的にビジネスモデルを考える」では、局所的な最適化のジレンマを抜け出すために社会全体からみた最適化ができるようなfeedback回路が必要なことを書いたが、そういった「制度を変える」検討をするのにデジタルメディアは向いていると思う。「行政刷新ホームページ」も残念ながらご意見箱のようなメール投稿があるだけで、掲示板のようなものはない。
日本の電子政府の国際的な遅れは、民間でIT化が進むほど露になる。ITの革新が続くことは民間でもいろいろな古い制度の破綻が明らかになることも意味している。今の事務所にはたいていコピー・FAX・プリンタの複合機くらいはあるので、紙の文書のスキャンは日本中できる時代である。この年末に「自炊の森」に憤っている人が多いが、そのようなところを叩いても何も変わらないことを、記事「過渡的な違法性から本格ビジネスへ」で書いた。日本人はその先の制度を考えるのが苦手なので、結局は規制の話以上にはならないことがある。やはり問題のあるところはどこでもちゃんとした議論ができる掲示板のようなものが必要だと思う。そういったことがうまく運用できるには、相当の専門性が必要なので、利害関係が少ない大学などで研究テーマとしてディスカッションの運営をするというのはどうだろうか。運営が必要なのは、漫然と意見をぶつけ合っても意味がないので、「利己的な動機」→「制度で補正」→「社会的最大利益」、という目的を共通に掲げる必要があるからだ。