投稿日: Apr 06, 2010 2:37:48 AM
世界が動いても日本は蚊帳の外と思う方へ
民主党の事業仕分けで、理化学研究所の次世代スーパーコンピューター施設の予算が40億円削減され、本格稼働が約半年遅れで、結局「世界一の処理速度を実現するのは難しい」というニュースがあった。一方Obama政権は米経済再生法を成立させ、 クラウドコンピューティングの実証実験をいくつか行っている。こちらは国立アルゴンヌ研究所のばあい、intelの8コアCPUに24GBのメモリーと500GBのディスクを持つものを504基つなげてLinuxベースで独自の運営システムを作っている。さらに160TBのFile Serverが8台ついている。他の研究所もこういったものが続々と導入されていき、外部からクラウドとして利用される予定だ。
民間のクラウド向けのデータセンターも建設ラッシュで、過去に見学したものはビルひとつで100万サーバであったが、Googleなどは1000万サーバを目指しているといわれ、Amazon、Microsoft、Yahoo、他の上位IT企業もこういった単位でどんどんデータセンターを作っているので、すでに上位数社で千万サーバのオーダーになっている。毎年9%くらいの伸びであるとみられている。これだけのサーバ市場があるとサーバの製造業者もそちらに相当手をとられてしまうことになり、ハード・システム・ネット・サービスを含めて国策で動いているとしか考えようがない。ますますアメリカのクラウドコンピューティングに世界が依存する形が出来上がりつつある。
そこで日本のスパコンのことを思い出して欲しい。計算速度が世界一になってどんな意味があるのかという質問があった。そんな戦艦大和みたいなものが1台あるよりも、intelのCPUが無数につながったものの方が、社会的な効用は大きい時代である。日本でもデータセンターを作る動きは当然あるが、デカいものを作る場合はアメリカに建設するところもある。今から日本国内でアメリカの真似をしても物量的・経済的に勝ち目はないだろうから、日本は何をすればどんな競争力を持てるのか、考えなければならないが……どうなんでしょうね。
私的にはアメリカのクラウド戦略は安易だと思う。何もかも、必要のないものまでネットを越えてやり取りするのもオカシな話だ。今後10年でデータセンターの電力使用量は1.5倍になるとかで、環境保護団体グリーンピースとのネゴシエーションも始まっている。もうコンピュータの話題を越えたところに行かないと先は見通せないということだろう。