投稿日: Jan 25, 2016 1:42:40 AM
Steve Jobs の晩年は、いろいろなところと戦っていた。以前はマイクロソフトが主たる「敵」であったのが、Googleとか、はてはAdobeとまで喧嘩するようになっていた。AdobeはFlashという動画・アニメのツールを買い取って、他のAdobeツールがそうであるように独占状態にしていたが、そのことはJobsのお気にめさなかったようで、JobsはHTML5ならFlashは要らないといっていた。当時のiPhoneのCPU処理ではFlashは重すぎたことがオコの理由のようだった。一方でiOSはSVGには対応して、ベクターグラフィクスをHTML5に誘っていた。
しかしゲームの世界などFlashで固まっているところが、いくらトレンドだからと言ってもすぐにHTML5に切り替わるはずがない。そこでFlashのファイルをHTML5にコンバートするようなツールも作られた。しかし白紙からFlashに相当するものをHTML5でコーディングするとなると大変で、デザイナレベルで容易に使えるHTML5ツールというのはなかなか現れなかったので、やはりFlashでやるしかない傾向は続いた。
ただしアマチュアがFlashもどき画像遊びをしてアニメなど動画を作るツールは増えてきたように思う。投稿動画をみてもベクターや文字を組み合わせた作品は非常に多い。その理由は、単なる動画撮影ではすぐに退屈になってしまい、間が持てないとか、派手な強調、刺激的文字メッセージを入れたいとか、素材が静止画しかないとか、いろいろあるだろう。特に文字テロップの多様はテレビの世界に共通するもので、撮影だけではなかなか見る人をガイドできないようになっているからだろう。動画編集ソフトでも文字の加工・挿入は重要な要素だ。
動画やアニメに文字をカッコよくちゃんとしたフォントや組み方で入れるとなると、アマチュア向けツールではなく、Flashなどが必要になるのだろうが、幸いPhotoshopもCSやCCになってアニメーション機能が加わり、Photoshop ユーザーはこういう動画分野の仕事がしやすくなった。とはいってもFlashに比べると可能なモーションには限りがあるようだが、巷のデジタルサイネージでよく見られる程度のことはPhotoshopでもかなりできるようだ。
Photoshopの場合は、レイヤービデオのフレームにみたてて、各レイヤーに時間をもたせることでGIFアニメとか極短い動画ができるので、その応用でちょっとFlashもどきのことができるのだろう。
また同じAdobe製品なのでFlashの素材作りとしてPhotoshop のレイヤーがFlashにも対応するようにしている。
結局タブレット登場の際に喧伝されたマルチメディアマガジンのようなものはオーサリングシステムや作業に費用がかかりすぎてなかなか立ち上がらなかったが、PhotoshopのFlashもどきであれば世の中にツールは十分揃っていることになるし、使えるオペレータも多い。そこで作られた極短時間動画が、ビデオやデジタルサイネージに利用されていくことが、HTML5によるマルチメディアに先行するのかもしれない。
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