投稿日: Oct 03, 2012 12:38:50 AM
過去のスタイルでは伸びないと思う方へ
かつてのパソコン通信の盛り上がりは個人がネットを使う歴史の始まりとして記録されている。それがWebの時代になった際にも継承されたが、2chも今では日本のtop10からは外れてしまった。紙の雑誌はWebになった際には広告モデルの無料雑誌を目指したが、そのようなビジネスに移行できたところは稀だ。紙のカタログはEC化することで隆盛になった。今ではtop10に楽天とAmazonが入っている。つまり旧媒体のスタイルを継承することはあまり意味は無く、「カタログ→EC」のように、そもそもその媒体が何のためにあったのか、というところに新たなメディアスタイルは作りかえられていくのである。先の掲示板に関してはBlog・SNSというように、やはり過去のままではなく発展系として、よりパーソナルなメディアに変わってきた。
紙の書籍に関しても、電子書籍なら同じスタイルを踏襲できる居心地のよさを感じる人が多いのだろうが、それは紙の代わりのアーカイブとはなっても、新しい媒体と呼べるようなものではない。従ってビジネスとしてアーカイブが期待されていないように、電子書籍のビジネスも紙の代替以上にはならないだろう。むしろそれに何かプラスアルファしないとビジネスプランにはならないように思う。
eBookに関しての新しい領域は、パーソナルメディアとしての自主出版とかメモのように、商業目的ではないものがあるが、これを企業がビジネスにするのは難しくて、AmazonなりどこかIT企業がプラットフォームサービスとして、毎月何百円かの会費をとるのが関の山だろう。こういったものと、過去の膨大なアーカイブがネット上での新たな情報環境になっていく。例えば学校の先生の講義資料もパーソナルメディアである。習い事の練習課題や習作もパーソナルメディアで、当然商用ではない。しかしそういった膨大な下地の上に、プロの商業メディアが成り立つようになるので、やはり無料の領域が膨大に必要で、それは誰も旗を振らなくても、神の導きのように進展していく。しかしそれだけでは足りない部分もある。
この30年ほどの間は、マイコン・パソコンが情報分野を先導してきたので、どうしてもパーソナル指向が強かったし、今でもスマホ・タブレットの如くパーソナルな情報機器に関心が高いのだが、パーソナルに情報が得られればそれが終着駅のわけではない。facebookはクローズドな回覧板のような役割もあって、情報共有というのがソーシャルメディアでテーマになっているが、これはあまりにもプライベートな世界でのことで、仕事や学校などのオフィシャルな世界では大きく立ち遅れている。例えばeLearningはfacebookのようなノリで出来るようにはなっていない。
さらに日本では血縁関係の情報網があまり形成されていないというのも特徴で、facebookもオッサンの仕事のつながりが中心だが、それは戦後には古い家父長制を嫌って極端に核家族化をした結果であろう。つまり家父長制に変わる家族の結びつきを再構築するというのが遅れている。オレオレ詐欺に騙される高齢者が多いことも、離れて住む家族のコミュニケーションが少ないからである。今いろいろなところで一人暮らし老人の安否確認のシステムが作られているが、そもそものコミュニケーション欠落という本質を見失っているように思う。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水)16:00-18:00 新しい出版マーケティングの時代