投稿日: Aug 20, 2015 1:14:42 AM
日本に限らず打倒Amazonという掛け声を聞くことは多いが、B29の空爆を竹槍で迎え撃つような虚ろさを覚える。Amazonという相手は一体どのようなものであるのかを知りもしないで叫んでいることが多いのではないか。Amazonが扱う品目はあまりにも広範で、これほどのアイテムを扱う小売りは世界中どこにもないまでになって、既存のどの小売りともドメインが異なるので比較することは容易でない。最も難しいのは、既存の小売りビジネスのそれぞれの長所がAmazonには備わっていないとして安心しても、Amazonにはそれに代わる、それに勝る何かがあったりするからである。
電子書籍云々で黒船論が叫ばれた時に、Amazonは日本の書店のノウハウがないから…という視点があったが、さて書店のノウハウとは何であったのか? また、日本の電子書店には既存の書店の何らかのノウハウを引き継いでいたのか? と考えると、もし何らかの配慮をしていたとしても大したものではなく、それよりもAmazonの買いやすさの方が勝っていたので、日本の電子書店ですら対抗は難しかった。
Amazonのサイトの見栄えの問題も決して良いものではないが、カスタマレビューはうまくコントロールされている。おそらく相当数の担当者がチェックしていて、応対や削除をしているのだろうと思う。それはマニュアル的な杓子定規なやりかたではなく、ある程度のお遊びは容認しているからである。つまりグラフィックデザインに金や手間をかけるよりも情報に金や手間をかけているともいえる。だからAmazonには顧客対応をする人が居ない無味乾燥なECだと思うのは間違いである。むしろ顧客対応は日本の電子書店の方がないかもしれない。
このようにAmazonは商品を並べているだけのように見えても、情報が膨らんでいって人いきれのするメディアとしてサイトを運営しているので、サイト自身にプロモーション力が備わるようになってきた。これはAmazonに限らず、またビッグデータの活用でクロスセル・アップセルがかなり的確に行えるようになり、eBayなどもECサイトのプロモーション力で競争しようとしているのと同じで、マーケティングのある部分がオートメーション化するようになってきた。このプラットフォームの上に商品を置けば、その商品に見合ったプロモーションが自動的に始まるというわけである。
日本の電子書店では戦士書籍の売り上げを越えるプロモーション費用をかけているところがあった。当然経営は続かない。さて、打倒Amazonの方々は、こういうプロモーション力に対してどのように対抗しようというのか。