投稿日: Sep 20, 2010 11:2:34 PM
顧客に好かれたいと思う方へ
クーポンやソーシャルはネットの上のビジネスと絡んでよく取り上げられるようになったが、これらは突然降ってわいた話題でもなく、また無くなるという性質のものでもない。だから開発するほうも利用するほうも、時流にあわせて取り組むのではなく、他のいろいろなサービスやメソッドとの関係を良く考える必要がある。逆に最近急にこれらを声高に叫ぶことは不自然に思われる。なぜならこれらはアメリカに比べて日本は20年は遅れている面もあり、日本では今までうまく使ってこれなかったものなので、そこをよく反省しないでネットと関連することで急にうまくいくとも考えられないからだ。
例えば日本で何かを買って、ユーザ登録のハガキなどを送るとか、ネットで会員登録などをしても、その後のフォローでグッと気を惹きつけるような経験をしたことはどれくらいあるだろう。確かにメルマガの類はいろいろ送られてくるとか、年に2回くらい製品案内の郵送物がくることはあるが、その機会をビジネスに結び付けようとどれだけ真剣に考えているか、疑問に思うようなものが多い。言い換えるとおざなりなフォローが一般的で、とてもFacebook上で友達にはなってもらえない。私はeBayで買い物をすることが多いが、商品発送時に同梱の明細書、サンキュレター、名刺などが入ることが多いし、その後電話がかかってきてウチ奥さんが驚くようなこともあった。しかもネット通販なのにサンキューレターは手書きが多く、顧客への語りかけを感じる。日本でもDMに関する参考書はあるが、現場では板についていない感がある。
面白いことに日本と違うのは、初回買い上げとか、リピートの場合と、しばらく買わない場合の対応が全然異なり、日本は買っても買わなくても細く長くDMやメルマガが来るが、アメリカはリピートしないとすぐにフォローは止まってしまう。逆に言えば初回買い上げをリピートに持っていくところは非常に手厚いし、深追いはしない。顧客データベースとかCRMという仕組みそのものはどこでも共通でも、それらをベースにどのようにコミュニケーションの設計をするのか、というところを研究しないと、なぜそうようなメソッドが効果をもたらしているのかが判らない。記事「良いことばかりではない:SocialMediaの将来」ではCraigslistの例をあげたが、クーポンやソーシャルでも、それらの仕組みだけでなく、どんなタイミングでどのようなことをして、受け取り手はどんな風に感じているか、などを含めた総体的な理解が必要である。
冒頭のテーマに戻って、せめてメルマガで効果のあることができていないと、メルマガ以上のコミュニケーション手段が現れても、より高い効果は出せないだろう。当然商品発送時やサポートの体制も伴っていなければならないし、販促企画も含めて、例えば「初回買い上げ」戦略をするとか、「リピート」に何かの戦略をたてるなど、上記の総体的な理解に対応した全部署の総体的な取り組みがバックに必要である。その戦略に応じて各パートは粛々と対応すればよいのであって、事業の各パートが勝手にメルマガだ、クーポンだ、ソーシャルだ、とめいめい行い始めるのはおかしい。つまりこれらはインターナルマーケティングの課題なのである。今までマーケティングを外部の広告会社に丸投げしていた会社ほど、インターナルマーケティングが立ち遅れて、ネットのこまごまとしたコミュニケーションが有効に使いこなせない傾向があるようだ。