投稿日: Aug 07, 2012 12:56:21 AM
端末は移り変わると思う方へ
私は個人的にはデジタルガジェット類は好きではなく、ほとんど持っていない。それらは割りと短期間の使い捨てだから、モッタイナイ性癖には合わないのだろう。そんなわけで世の中がどれだけ騒いでも割りとさめて見ている。結局は世の中の半数ほどの人が使うようになると自分の生活の中でも使うのだが、それまでは研究用に触ってケチをつける対象になっている。自分で納得して買ったものは愛用していて、SonyのDiskManは今でも使っている。それはイヤホン出力以外に0dbのLineOutがついているし、フタの開け閉めが迅速にできて、CDのとっかえがもっとも高速にできるからである。しかしこれは販促の焦点にはならないことだろうなと思う。要するにガジェット類は本来機能の実用価値よりはとっつきのよさで売る面が強いと思われる。しかし今はCDを持ち歩いて聞く時代ではなくなった。時代はガジェットを越えて変化していく。
イオンがKoboを売るそうだが、カメラ屋・電気屋・本屋どこでも読書端末が並ぶようになるだろう。またいろんなタブレットに読書用ビュアが用意されるだろう。だから端末やビュアがどうこうというニュースがしばらくは続くだろうが、そんな中にメディアビジネスのヒントはない。それらはマーケティング上どの端末にどのくらいの比重を置くかだけの話で、その作業の積み重ねは端末が変化するとゼロリセットされるので、そんなことをしていても新しいビジネスは構築できない。そんな端末メーカーのことよりも、デジタルメディアをどのように人々のライフスタイルに溶け込ませるかを画策しなけばならないはずだ。過去の出版ビジネスが作りっぱなしで、売る方はお任せであったのが、eBookになると出版社がマーケティングをしなければならないからだ。
今日本の出版社が経験しつつある電子書籍がデジタルメディアビジネスの最終形ではなく、紙のコンテンツあるいは従来の編集からデジタルでの流通に切り替る契機として電子書籍があるのであって、eBookのビジネスとして今考えなければならないのは5-10年先の姿を描くことである。それはデジタルディスプレイでの見える形のことはそれほど問題ではなく、著者との関係や読者との関係など出版のバリューチェーンの両端をしっかりと捉えたビジネススキームを構築することのはずだ。新聞が読まれなくなっているといわれても大メディアとして存在し続けているのは、紙に文字や写真を並べることよりも、毎日配達して月極めで料金徴収できているからである。
つまり書店や取次ぎが関与しないeBookにおいては、従来とは別のバリューチェーンやビジネススキームを考えて実行できる人がビジネスを成立させられるのであって、それは自社で全部作らなくても共同とかアライアンスとかやりようはいろいろある。従来出版を志向している人はこういったことに興味がないのだろうが、ビジネス戦略や営業のできる人を社内に持たないとデジタルメディアで稼ぐようにはなれないだろう。それができなければデジタルに切り替わらない分野に特化して縮小均衡を目指すという選択も出版社にはあるにはあるが…。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催