投稿日: Aug 18, 2015 12:17:59 AM
オリンピックのエンブレムから始まって、デザインのパクりとか模倣とか類似に関する投稿が増えている。この世には最初に創ったクリエーターに対するリスペクトのある模倣というのもあって(パロディも含めて)、模倣や類似のすべてがブラック扱いされるわけではないのが難しいところである。古典的なグラフィックスを借用することは当然のように行われていることであるので、まだ権利が誰かに帰属するものをヒントにした場合にどうなのかということだが、結局は制作する人の態度になってしまい、マニュアル的にパクリを判断することはできないだろう。
デザインを本職とするプロの態度としては李下に冠であるべきで、ネットで検索すれば見つかるような他人の作品を拝借するのは、法律議論よりも前にお付き合いしたくない相手である。つまり発注者の問題というのがあって、その仕事に相応しい人に依頼するのが筋で、出来上がったデザインを見て審査するというのは茶番なのだ。
もしこれが個人の年賀状のようなものなら、私がネット画像をヒントに適当に加工した意匠でも問題ないだろうが、オリンピックの場合は国際的に使うもので、ロゴの使用料も頂戴するわけだから、信用できる「商品」でなければならないので、国際的に活躍している実績のあるデザイナに依頼するべきなのだろうが、今回の東京オリンピックではドメスティックなデザイナでお手盛り審査をしてしまったのが間違いだった。
しかし経験が浅く権利問題などどのようにチェックしてよいかわからないデザイナでも参加できるように、むしろ審査側に法務の人を入れるべきである。何度もいうがオリンピックの場合はロゴも商売道具なのだから。
またオリンピック以外のデザインコンペの場合を考えてみると、企業に法務の人がいるならば参加を願えばよいが、居ないならデザイナの団体の顧問の法律家(がきっといると思うのだが…)のように、デザイナの身近に法務の人がいるようにしておいて、仕事を通じて事例によって権利問題が理解できるようにするのがいいだろう。