投稿日: Feb 25, 2013 1:9:24 AM
静かに潜行していると思う方へ
日本では普及が遅れているといわれたタブレットではあるは、2012年の国内家電・IT製品の市場動向からみると、2012年は前年の倍、2011年も前年の倍と、倍々ゲームに入っていることがわかる。これに加えて2012年はKindle PaperwhiteやKoboその他電子書籍端末も日本市場に入っているので、コンシューマ向けのPCはズリ下がり始めている。とはいってもその変化は大きいものではない。家電・IT製品で大きく変化しているのは薄型TVがデジタル放送駆け込みピークの3分の1くらいに下がったことと、このタブレットだけであり、世の中は言われるほどには家電市場が変わっているわけではない。むしろ家電メーカーの体質というか、リストラや経営建て直しの不完全さがニュースネタになっているのだろう。
スマホも倍々ゲームなのだが、これはガラケーからの移行なので新市場が拓けたわけではない。むしろ有料コンテンツという点では、ゲームを除くと市場は縮小しているように思える。だから不思議なのは、それほどアプリやシステム開発が進んでいるとも思えないタブレットが急増していることである。タブレットの購入元は家電系列とB2Bに2分されているようで、用途も前者はスマホの兄貴的な使い方、後者はシステム的な取り組みで組織活動とか学校の集合教育の端末として使われるものだろう。
この2パターンの取り組みが顕著になってきたことから、やはり以前から言われていたようにコンテンツ市場としてタブレットが切り拓きつつあるところは、電子書籍も含めてのB2Cエンタメと、B2Bドキュメントの2分野である。前者はスマホとの共存分野で、同じコンテンツをスマホでみたりタブレットで見たりするだろうし、3GやLTEはスマホの契約のものを使いまわしするのかもしれない。しかし後者のB2Bシステム的な用途は利用場所や接続先が限定されることが多く、昔のイントラネットのような感じでWiFi利用が主になるだろう。
いずれもクラウド的なサーバ側の仕組みも伴っての利用になり、これはシンクライアントとかマッシュアップといった技術の継承なのだろうが、ニュースでは派手に取り上げられるB2Cのゲームと電子書籍というアプリは単にデバイスが置き換わっただけでタブレットだからといって別に革新的なものではないが、B2Bにおけるタブレットの利用は従来のビジネスプロセスを壊してしまう革新性をもっているように思える。その代表は紙ドキュメントを不要にするものである。しかし別に紙を標的にしているわけではなく、どこにいても情報にアクセスできることがビジネスの革新につながるからである。
例えば自動車が何らか事故とかトラブった場合に、自動車自体でログがとられていて、現場の写真をアップロードし、ネットで関係者の情報を調べることくらいは可能なので、その先のソリューションのシステムがつくられていくはずだ。事故で必要になる、救済・届出・保険・修理などの業務を総合的に統括的に扱う考えであれば、次第にペーパーレスに進んでいくだろう。タブレットはこういった救済・調査・修理など出向いて行う業務に使われようとしている。