投稿日: Jul 22, 2014 12:55:8 AM
毎日どこかでWebを眺めるという生活がもう20年目に入る。最初はWindows3.1+Trumpet+Mosaicだったが、実質は文字中心でサイトは作られていた。パソコン通信に比べると、見出し文字が大きくなるとか、幾分か文章の整形ができて、まあタイプライタ文書は越えたかなという程度だった。むしろグラフィックスに関してはパソコン通信の方が花盛りであった。いわゆるPlayboyのグラビアを勝手に貼り付けてOKだったGIFの時代である。これはWebの時代になる段階で法整備がされていった。
Webになって、おもしろ画像をアップするサイトも出てきた。海外でも日本人の珍発明のような写真が紹介されたが、それが今での時々ネットのメディアで出てくる。なんとコンテンツの寿命は20年近くあることになる。笑える誤植というのも当初からあった。世界の奇勝などもそうである。20年間にネットのサービスはいろいろ興ったが、人の興味はあまり変わらない。剽窃も捏造も罵詈雑言もそれほど変わってはいない。紙メディアの時代よりもやりやすくなったことと、ネットの利用者が増えたことしか変化はなかったのではないか。
紙の新聞を人々がとるようになって、どれだけ賢くなったのか? テレビで重大ニュースをみんなが見るようになって、どれだけ賢くなったのか? 同様の問いがネットメディアにおいてもいえる。そういえばメディア社会論というのはこのところ随分低調になったように思える。メディア論はマクルーハンが最後であったということになるかもしれない。(少なくとも今のところは)
だからネットがあまり役には立たないだろうと言っているのではなく、ページビューを稼ぐことを企てる人は大勢いても、社会に役立てることを考える人はあまりいないということだろう。そのために、面白いアイディアをもっている人が意外に孤立しているのがネットの世界なのである。
例えばWikipediaとか青空文庫のようなものは他にもいくらでも考えられ、また小規模の実験なら可能であるので、実験を積み重ねながら、意見交換をしていくことが重要だと思う。どうしても新しい試みのプレゼンの機会というと、ベンチャーとして大ヒットを飛ばすために投資家にアピールする場として設定されることが多いが、その種の皮算用を20年間振り返ると、実際のところは似たことの繰り返しで食傷気味である。
ベンチャーで検索すると、「完璧なプレゼンで投資家を驚愕させるための10の秘訣」のような記事がゴロゴロ出てくるが、もっとニッチな世界に絞り込んで、着実に成果を出している取り組みに注目すべきではないか。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive