投稿日: Apr 12, 2016 1:9:48 AM
ネット通販の広がりはまだまだ続くと思うが、おそらく様相は変わらざるを得ないだろう。広告や検索などで買ってもらうのは地域の制約がないのでビジネスの広がりがありそうでいて、1回限りかもしれず、メールで追跡しても嫌がられるだけかもしれない。一部の儲かっているサイト以外は殆どがそれほどのビジネスにはならないままである。事実スマホシフト以外にはあまり変化が感じられない今日のECである。このままではネット通販は巨人が闊歩するだけの世界になってしまうのか?
しかし広告や検索で買ってもらうだけが商売の方法ではないし、ネット直販だけがネットの利用方法でもない。いわばネットの広告や検索によってどこの誰だかわからない分散した顧客とビジネスをする方が難しいわけで、これは広大な国土を持つアメリカのように人々が分散して暮らしていた国にはフィットする方法ではあっても、究極的なビジネスなわけではない。ただ今はインターネットで国境が低くなったことで、アメリカの通販モデルが世界的に通用するようになったので、Amazonなどは大きく伸びている。しかしこれは日本国内ビジネスにはあてはまらない。
広く分散した『点』としての顧客を相手にするのは物流という点では効率が悪い。少量であったり商品単価が下がると特に運送や管理コストがかさんでしまい、集中的な物流をした方がよいことがある。農産物や特産品のように供給能力が限られる場合は、分散した点に分配するよりも、旬の時に集中的に流通した方がよい。鮮度という価値があるならば、トレタテを朝市に供給して売り切るようなものである。都市の近郊農家がそういうことをしているが、生産者側から近いうちにどんなものをどこに出すという出荷予測がネットでされるようになるとよいように思う。
朝市のようなものは生産者と消費者を定期的に結びつける『線』のビジネスになる。消費者としても出荷予告があれば期待感を抱くようになるだろうし、レシピの心つもりができれば献立に悩むことも減る。こういう情報もネットならリンクできる。朝市でなくても昼市でも夕市でもいいが、都市部のリアル店舗の販促イベント的なタイアップにもなるから、都市部での宣伝してもらえる可能性はある。生産者からすると販促タイアップで直販・売り切りというビジネスである。
『面』的なビジネスは地産地消とかバリューチェーンである。生産者が学校給食の年間予定にあわせて生産するとか、外食産業からの生産委託を受けるなどで、ネットの役割としてはビジネスマッチングとかオークションのようなものになるだろう。つまり個々の出来た作物を売りに出すのではなく、畑と期間と労賃に値付けをするようなものである。
外食産業からすると独自のスペシャルな素材の調達ということになる。
以上、ネットでのBtoB、BtoCなどいろいろ組み合わせたECの連携が本来の問題解決になっていくのだろうと思う。
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