投稿日: Jul 17, 2012 1:42:32 AM
世界の情勢を先読みして日本で活かしたい方へ
子供がゲームをしているのを横から見ていると、1000年2000年前の話をモチーフにしたストーリーやグラフィックスがよくある。それがビジネスになるのは今日的な環境での楽しみ方を作り出したからである。その「今日的」とはゲーム機・スマホ・PCといった装置の変化だけでなく、装置を使う局面の拡大、生活者の生活様式の変化による意識変化とか、他国への広がりとか、いろいろな要素が加わってきて、生活が変化すればメディアビジネスは変化して広がっていくことがわかる。つまりメディアビジネスは生活変化に対応した組み換えされ適切にできていれば、人が時間を消費する中で必ず成立するといえる。
逆に言えば、生活変化に対応した組み換えができなければ淘汰されてしまって、別の様式のメディアに置き換わってしまうということで、今まさにその淵にきているものが多い。記事『電子化の先にも山谷が予想される』ではここ10年で学術誌の読み方が電子ジャーナルに置き換わったものの、提供する側にはまだ大きな変化がありそうなことを書いた。IT化とともに欧米で実際に先行して起こっていることについては、Ebook2.0Forumの鎌田氏が最も詳しくレポートしていて、参考にされている方も多いと思うが、ではそういった情報を日本でどのように咀嚼して自分のビジネスの戦略策定に結びつけるのかというところは難しいかもしれない。
そこでEbook2.0Forumと共同で電子出版再構築のための研究会として、オープン・パブリッシング・フォーラムを開始する。現実のビジネス課題としてはどんな形態のメディアにするか、それは有料/無料? 課金は? 販売/流通? という細かい検討があるが、それは個別の会社が考えることが多いので、むしろ研究会では共同で考えるのにふさわしいテーマを、1期~4期にわけて設定した。
1期 市場:商品特性/サービス、価格/流通
2期 コンテンツ/アーキテクチャ/制作プロセス
3期 出版の社会的機能/権利問題
4期 ビジネスモデル/サービスサイエンス/エコシステム
デジタルメディアのビジネスの行方は不確定ではあっても、Amazonであれ日本の大手出版社であれ、すでに大きな経営基盤をもっているとこころは、上手に軌道修正をしていけば経営を維持することはできるはずだ。しかし旧来の紙のメディアビジネスで経営基盤が弱ってしまったとか新興のメディアビジネスをするところにとっては、白紙からどのように経営を成り立たせられるかを考えなければならないし、前者よりもさらに臨機応変に軌道修正をすることが必要になる。つまりたくさんのことを考えて、たくさんのことを試みる中でしか生き残りのヒントは得られなので、これを効率的に行うための研究会である。
元来出版は小規模でも良質な仕事ができる領域であり、その特性はデジタルとネットの利用でさらに活かすことができるはずであるし、その事業が継続発展できるビジネスモデルを考えることが研究会の目的でもあるので、メディアビジネスに野心を持つ方はぜひ参加していただいて、ともにディスカッションできるようになりたい。
関連情報 2012年7月25日(水) 『出版のマーケティングを見直す 復刊ドットコム』