投稿日: Jan 30, 2014 2:36:0 AM
会社の成長を考えると…
前職で印刷の産業動向を分析したり予測するのに産業連関表というのをよく見ていた。産業ごとに、どの産業からどれだけ原料等を入手し、どの産業に向けて製品を販売しているかという経済構造がわかり、連鎖的な波及を考えるためである。つまり旧来の産業のエコシステムをみるようなものである。よくハコモノ行政とか自動車が経済波及効果が大きいから意味がある云々の根拠でもある。逆に印刷はどこにでも需要があるということで産業連関はあまり重視してこなかった気もする。
しかしかつて紙メディア万能の時代は必ず印刷業に来ていた仕事が、1980年代以降は自家処理(ワープロなどOA)され始め、ネットの時代になってペーパーレスに拍車をかけるようになってきた。そこで印刷としては負の産業連関の予測、つまり、どの産業がどれだけペーパーレス化するか、を想定して、10年で半減だろうなと思った。今はだいたいその線で推移してきているように見える。こういう予測はずいぶん前からマクロ的にはあったので、それを埋め合わせる新規事業がずっと話題になってはいたが、そこに新世界はあるのだろうか?新世界についてはコロンブスのように新大陸を発見した人はわずかで、ただ大海をさまよっただけの人が大勢いたと考えられる。
紙は保存性が必要なところでは残る。過去の紙の需要のうちで何が残るかはケースバイケースだが、この産業連関の仕入先や提供先の関係のなかで存続しえる印刷の製造やサービスが何であろうかと熟考することが求められている。電子メディアは紙よりも危ういかもしれない。ソフトウェア産業は産業連関表の中でちゃんと位置づけられる前に衰退に向かったかのように見える。つまり仕入先や提供先の関係が希薄すぎて、根無し草というか大海に浮かぶ木片のようになっているからだ。それではどこか着陸するところを見つけて長期的に持続して成長することは難しい。
どんな着陸の形態があるのかを考えると、プログラムを作って売るとかホームページをつくるというビジネスはデザイン会社に似た経営形態になるのではないかと思う。ソフトウェア産業は企業規模を考えるとITの人材派遣とかBPOという業務にならざるを得ないだろう。これはITに強くなった印刷会社のこれからのビジネスの選択肢でもある。つまり仕事の質を追いかけて前工程に出て行ってこじんまり経営するのか、仕入先や提供先とがっちり組んで質より量で経営するのかである。