投稿日: Aug 25, 2014 12:6:41 AM
図書館が話題になることが多くなっているように思える。ちょっと前は出版ビジネスと利害が反するような言い方もされたが、今は図書に親しみをもってもらおうとか出版文化の一角として考えらえることが多い。しかし殆どは本を読む側からの見方であって、蔵書貸出に関することが主で、図書館を運営するとか、図書館を設計するといった話は少ない。
しかし地域社会とか地域文化という点では地域アーカイブとしての図書館の役割はすこぶる大きいはずである。また大学や研究機関にとってはそれぞれの抱えているテーマの文献の蓄積や論文の閲覧のための役割が図書館にはある。
図書館の運営管理にはコストがかかるので、各地方自治体は図書館を縮小するところもある。その結果として教育委員会などに溜まった郷土資料の行き場がないということ話も聞いた。アーカイブの構築はコストがかかる一方で、リターンというのがないのが通例であるから、日本では一向に進展しない。アメリカで国家的に取り組んだアーカイブでは、市民のボランティアでデジタル化の作業がされて、そのデータの収納管理を公的機関が行うようなものであった。
しかもかつてのTVのコマーシャルフィルムのようなものはコピーライトがとられていなかったので、作業した人はそれを自分の研究などにも使えた。つまり何らかの分野の過去データに興味を持っている人が、自分の興味範囲をそれぞれボランティアでおこなって、自分の用にも使うというものだったらしい。関心をもった人がデジタル化を手伝う際に、コンテンツのメタデータ化もされるので、デジタルで閲覧する際にも検索がしやすくなるし、アナログな収蔵管理にも使えることになる。
アメリカの場合は過去文書がマイクロフィルムに収蔵されているので、過去データの基礎部分はマイクロフィルムをスキャンすればよく、それは専用のスキャナで1980年代から行われてきた。前世紀のうちにアメリカ建国以来発行された日刊新聞はすべてデジタルアーカイブになってしまった。しかし前述のTVコマーシャルのように新規に発掘された分野が次々と出てくるのだが、予算をつけなくてもアーカイブの範囲が拡大していくようになった。
こういうアーカイブ作業の成果はアメリカの歴史年表のようなホームページに紐づけられていく。日本では公的には公文書館に政府や軍関係のドキュメントのアーカイブがあるが、社会学の対象になるような過去資料に関してはどのようにリンクが貼られるのであろうか?Wikipediaなのだろうか?
日本の総合年表のようなホームページならば国の予算が無くてもできる時代なので、そことリンクを貼るような関係で、各地の図書館が収蔵している過去の資料のデジタル化とか、地域に散逸している資料を図書館へ集め、メタデータをつけるところまでをボランティアですれば、図書館の予算に拘束されずにデジタルとアナログのアーカイブは進めらえように思う。
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