投稿日: Feb 21, 2013 12:17:1 AM
仕切り直しが必要だと思う方へ
リーダースダイジェストが2度目の破産をした。もう立ち直らないだろう。ネット上のメディアとしてやり直すようなプランがあるらしいが、おそらく規模は何十分の1になるだろう。タイム・ワーナーのような巨大メディアも苦戦している。ネットによってアナログメディアが衰退した分の情報が供給されるわけだが、コンテンツビジネスの規模は一桁下がってしまうだろう。紙メディアや電波メディアのような媒体コストがかからないから当然なのだが、これはコンテンツビジネスに始まったことではなく、流通業でも中間の卸が縮小するとか製造直販のように、ネットによるコミュニケーションの向上がもたらす経済変革(必然としてのデフレ)の一環である。
しかしこれで力をつける生産者もいるわけで、印刷のような中間物製造とか、中間流通が簡素化して仕事が減っていく分野の人や会社は、生産者側にもっと寄り添って、生産者のパートナーとなるようなビジネスを模索している。それは広告というよりは販促を手伝って成果報酬とか、SIerがBPOをするなど、現業に組み込まれていく姿である。
では卸のような中間の機能は不要になるのかというと、確かに既存のビジネス中では相当縮小するであろうが、市場の拡大が見込める分野では、新しい販売のプラットフォームを作るということが望まれている。ミュージシャンにとってはCD1枚を作り上げるのが1年の仕事になるかもしれないが、CD1枚を扱うというのは中間の流通業にとってはあまりにもちっぽけなビジネスである。しかもそのビジネスは下降している。だからCDは作り難くなっていくかもしれない。それに伴って音楽ジャーナリズムも衰退している。しかしどこかで新譜の紹介ということがされないとミュージシャンも困る。
新譜の紹介は音楽会社自身の広告販促と音楽雑誌のパブリシティが2人3脚で行っていたもので、ファンはそれらメディアやコンテンツも楽しみにしていたと思う。今日はそれらの販売もネットに移行しつつある過程なのだが、幾らかの混乱期であるように思える。ウチの子供も音楽雑誌は買ったことはなく、主にネットの評判や紹介であれやこれやを買ったり借りたりしているが、かつてのレコード会社が提供していた商品企画がかなり系統的・体系的であったのに比べると、個人の音楽蒐集は随分とランダムなものとなっている。本でも本屋の棚から買っていた時代は、何か発見をしても同時にその本の置かれた体系を意識できたのが、ネット上での発見の方が離散的になっているようだ。
ネットの紹介は「これを買った人は、これも買っている」といった統計的相関(クロスセル)が優先されていて、深みに入っていくようなアップセルになる誘導が少ない。最近サブコンパクト・パブリッシングというBlog出版的なものが見直されているが、音楽会社が紹介だけではビジネスにならないと考えていたものを、マニアが自主出版することになるのだろう。そこでこういったことをやりやすくする仕組みとしてはAppleのNewsstandがすでにあるのだが、他にもいろいろ新しい販売のプラットフォームができて、解体する巨大メディアの補完をしていくのかもしれない。