投稿日: Nov 26, 2013 12:46:49 AM
数撃てば当たるということはない
かつてアメリカでCATVを見ていたら日本のエイトマンという古いアニメをやっていてびっくりしたことがあった。日本の作品も海外でかなり見られるようになっているが、その多くは安く仕入れが可能な埋草的なコンテンツなのかもしれないと思った。ただし手塚治虫先生などは作家名でコンテンツが売れるようにはなっている。JImiHendrixが鉄腕アトムのファンであったという話もあって、それにちなんだ曲も残していた。しかし輸出されているアニメの主流は外国語へ適当に吹き返ればつかえるという、安直で安上がりコンテンツでるからというのが実態であろう。これがヒットしたという話もあまり聞かない。
政府が何らかの加担をするクールジャパンに意味があるとすると、冒頭のような安いコンテンツを数多く世界に提供することよりも、その状態から宮崎アニメのようなクオリティの高いロングセラーへの日本アニメのブランド転換に何らかの手が打てるかどうかにかかっているように思う。
エンタメ分野ビジネスはグローバル化の可能性はあるものの、ただでさえ難しいエンタメのマーケティングを、さらに外国に向けてしなければならないという2重の高い壁がある。アニメもコミックも手塚。宮崎大先生という突破口をもっているものの、それに他の作家が続々つづくようにはなっていないのは、小説で村上春樹だけが世界に売れるのと似ていて、それは難しい課題だがそこに何らかの策が必要なのだろう。
クールジャパンの掛け声でやりやすいのはコンテンツ作りに拍車をかけることだろうが、それをしても薄給で働くタコ部屋が増えるだけでコンテンツを産み出す土台が豊かになるわけではない。制作のコストダウンはすでに既にアニメの作業などがアジアに依存しているように、国境を越えたネットワークで行える部分は先にグローバル化が進んでしまっている。残っているのはクリエータのアシスタントのように感性を共有して作業するネットワークであり、それは主として国内の作家・プロダクション・制作会社がコラボできる創造的なネットワーク環境を作る必要がある。
これは以前から考えていたことで、一挙にシステム化するのではなく、あくまでもクリエータの立場で必要なものを目指さなければならない。なぜなら最初から何がアタるのか判らないのだからコストはかけられず、しかしある程度ヒットが読めるようになった段階で、量産化するとかマルチリンガル化・マルチメディア化することがやりやすいようにレールを敷いておくという意味で、標準技術を使ってやりやすくする方策がとれる時代なのだ。これからの若い作家がそういった環境の中で育てる必要もあるだろう。