投稿日: Mar 09, 2013 2:8:34 AM
断片的な情報が増えたと思う方へ
今日はアナログメディアがデジタルメディアに置き換わる過渡期であるが、それはメディアの作り手には大問題でも、生活者で、特に情報の受動的な面で考えると、放送がアナログでもデジタルでも番組が変わらなければ同じであるように、漫画が紙でもタブレットでも全然気にするほどの問題ではないはずだ。テレビにおいても、制作側からすると、これは30分番組であるとか60分番組と言うようなパッケージの様式から中身を考えて作るのであろうが、テレビを見る人は30分とか60分の間ずっと見てくれるとは限らず、途中でチャンネルを変えてしまったり、また戻ってきたりしていて、数分とか単位でしか集中してみていないことがある。
そうすると制作側は放送はネットとは違うというスタンスでいたとしても、生活者にとってはYouTubeで10分内外のものをいろいろ選んで見ているとの、テレビ放送の視聴とは大差ないものになる。ウチの家族でみると、じっくり最初から最後まで見ているのはDVDである。CDも1枚通して聞いていることがある。放送の歴史を考えると放送の意味合いは時代的に変化してきていて、最初は生活者の時間帯、対象などを考慮して、料理番組だったり、お茶の間の一家団欒に合わせるとか、目的をもった番組つくりをしていたのが、今は24時間を埋め尽くすべく羅列的にいろんな情報を盛り込むように変わったと思う。
それに対応するように、生活者の日常のメディア接触は断片的なもので刺激を求めるようになって、テレビであれネットであれ断片的な情報が多くなっている。漫画が日本のケータイコンテンツとしてブレイクしたのも、電車で移動中の時間内に読み終わることができるからだという話を聞いたが、それはもともと漫画雑誌でも似た利用のされ方をしていたのを引き継いだのだろう。漫画は本に比べて読みきるのが速いという特性が、断片的な情報受容の時代に合うのであろう。
その一方で、ある程度長い時間を一つのメディアに集中するということも廃れたわけではなく、DVD、CDとか、読書も定着している。しかしこれらで扱われる良い作品は、それほど毎月毎月変動するものではないので、ビジネスとして伸びていくものでもなければ、むしろ日本の人口減で市場は狭まりつつあるといえる。だからビジネスとして伸ばしたいと考える人は、どうしても流動的で断片的なコンテンツに向かうことになるのだろう。そしてデジタルの方がアナログよりも、情報をより断片的に扱いやすいので、拍車がかかりつつあるが、本当にそれでやっていけるのだろうかと疑問をもつ。
つまり売る方は断片的情報をワンコインで提供するのがビジネスの障壁は少ないと考えるのだろうが、コンテンツをクリエイトする人はそんな作品つくりで満足するのだろうか?