投稿日: Jan 19, 2015 1:18:32 AM
特定のメンバーとチャットをするサービスは昔からあって、それをオープンに拡散できるものとしてtwetterのようなサービスが出てきたと思うし、さらに書き込み・記録面の機能をいろいろ付け加えたfacebookなどのSNSが近年広まっていった。数年前のSNSへの期待というのはすごいものであって、Web全体を取り込むのではないかとか、人間関係を変えるのではないか、マーケティングを変えるのではないか、マスメディアが要らなくなるのではないか?などなどの議論がされていたことが懐かしい。
しかしfacebookの利用はスマホの普及とともに劣化していったようにみえる。スマホでは「いいね」を押すとかシェア以上の面倒なことは次第にしなくなってきたのではないかと思う。しかしそうなるとLINEなどのサービスに対する優位性は失われていく。
実際にはSNSの雄であるfacebookは世界的な情報流通の平準化に貢献しただけで、Webとか人間関係とかマーケティングやマスメディアとの問題ではLINEのようなスマホ特化型のサービスの方が一般には影響力を持つようになった。数年前はイスラム国も考えられなかったし、彼らがfacebookを活用するというのも当然ながら想定外だったが、世界中からイスラム国に参加したい若者が集まったのは、なにがしかSNSの影響があることは否めない。
大抵の組織というのは名簿があるとか最初から連絡網というものをもっている。そこにあかの他人がアクセスしてコミュニケーションをする方法は非常に間口が狭かったが、SNSは少しコミュニケーションの構造を変えたようには思える。これは災害におけるボランティア活動にもいえることである。
それ以外のSNSの社会的な影響に関する議論が無駄であったというのではなく、まだいくつもの段階を踏まなければ大きな社会的な効用は現れないということだろうから、気長に議論し続けるのが良いと思う。ちょっとイノベーションの空気が流れるとカンブリア紀のように人々のイマジネーションが爆発して百家争鳴になるのは世の常であるが、そこで浮かんだアイディアをずっと時間をかけて深めていくのか、興がすぐに冷めてしまってもっと別の話題にスイッチしてしまうのかについては、個人差とか国民性があるように思える。
つまり議論好きの国民性があれば、一旦は下火になったテーマでもどこかで継続して探求されていくかどうかの問題である。
SNSの社会的な影響を夢見た人でも現状に失望して諦めるべきではないと思う。目下の標的はLINEのような安直さが第一のサービスを超えるSNSができるかどうかであろう。記事『広告モデルは健全か?』では、LINEとWhatsAppを比較して、広告モデルからの脱却がひとつの方向性であることを書いた。新たなサービスとしては広告モデルの方が成功裏に進めば収益を得られるようになるのが速いのだろうが、そのモデルも何年かすると考え直さなければならなくなる。そういう期間で新サービスのことを考えるのか、もっと長い期間で考えるのかの違いかもしれない。
電子メールにおいても、それに関る問題解決を考えるならば、1通1円くらいの有料サービスにすることで安心で居心地の良いサービスにすることもできるだろう。今踊り場にあるSNSがかかえる課題にも、新たな挑戦者が出てくる日はあるだろう。
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