投稿日: Oct 13, 2011 12:53:57 AM
ネットで経済の活性化がまだないと思う方へ
ソーシャルメディアを使って新しいマーケティングをする試みが取り組まれているが、それが経済全体にどれくらい影響を与えるものになるのかは不明である。大方の見方は、今までマスマーケティングに頼っていた分野のいくらかがソーシャルメディアに移行するだろう、ということと、それで成功して頭角を現す企業群もあるだろうということだ。しかしそもそもマスマーケティングが経済のすべてではなく、特にBtoBではニッチなマーケティングが重要になる。これらは中小企業間の取引が主なので、マスマーケティングのような費用はかけられない。しかしそういった分野こそネットとITで恩恵が受けられるはずのところである。
楽天のように小さな店が無数に並んでいるECと、Amazonのように商品の取り扱いが一律になっているECとがあるわけだが、検索とかお勧めとかマーケティング面での統計の進化は後者のAmazonの方が優れている。かつて情報誌のはしりになったリクルートの住宅情報は、それまで不動産業が店舗ごとにバラバラに扱っていた物件情報を全部コンピュータ化で整理したもので、利用のしやすさとか情報の信頼性が上がって、そこが不動産物件のマーケット(いちば)のようになったことを思い出す。これはコンピュータが新たなマーケットを作り出したと同じようなことである。その時代よりも今はもっとネット上に仮想の市場が作りやすくなっているのだから、Amazonのようなマーケティング機能も組み込んだ、市場(=価値の交換をするところ)が出てきてもよさそうに思う。
クロスメディアエキスパート認証試験の提案の課題作りでいろんな業種の実態を調べたことがあるが、中小企業はマーケティングの経験が乏しいし、またそれをITとネットでするためのサーバ環境の運営が苦手であって、ごく一部の企業しかECには進めない。その段階のところにソーシャルメディア提案であろうと他のEC販促提案をもっていっても、それで活性化するところはあまりないことになる。中小企業の実態は、がんばっても楽天に出店する程度なので、なかなかビジネスに広がりがない。
Webやサーバ・DBを自分で運用するのは苦手な会社相手に簡単にECショップを作る仕掛けもあるが、個別業者ごとにマーケティングをしろといっても知恵は出ないし、そのためのIT投資もできない。だからECをするための取引のインフラ提供と、ネット上でのマーケティングに必要なインフラを併せ持ったプラットフォームが必要になる。これはAmazonをはじめ、eBayなどでも力を入れているところで、それに類するものは日本ではあまりない。Yahooなどのショッピングも似てはいるが、記事『eBusinessの王道』に書いたように、eBay10年のノウハウにはかなわない。
今からAmazonやeBayに対抗するものはできないだろうが、そのプラットフォーム機能から学んで日本の中小企業のBtoBの仕組みができなければ、結局は大半の業者はマーケティング面とIT面で落ちこぼれてしまうことになろう。こういった会社に助太刀の提案をする側も、今のままではサポートしきれずに疲弊してしまうので、マーケティングとIT化の汎用な共通部分の開発負担が減れば、それぞれの事業者固有の特徴をだすところに提案は絞ることができ、成果も分かりやすいものとなり、ネット上にそれぞれの分野のマーケットが出来上がるだろう。