投稿日: Nov 27, 2015 1:32:25 AM
デジタルカメラの下降が止まらない。2010年頃から全体市場が縮んで行ったのはスマホの影響だろうし、その後もGoLiveなどカメラが多様化して、コンパクトカメラよりは他のデバイスに消費者の目が行くようになった。それでもレンズ交換式デジタルカメラは伸びていたのだが、2012年を期に下降しはじめている。これは単にデバイスの話ではなく、静止画というものの限界が現れているように思える。
これらは伝統的なフィルムカメラをデジタル化したようなデバイスの話で、光学機メーカーは内視鏡とか産業用の特殊カメラの仕事は増えている。だから悲観することはないのだが、ことコンシュマ向けに関しては日本の光学機メーカーからヒット作は出なくなってしまった。
前職では産業用カメラの新規応用というのを研究会でやりかけていたが、なかなかすぐに売り上げに貢献しそうにない分野は手を出すところがなかった。ところが驚いたのは、デジタル画像の時代になるとエンジニアリング力のあるところは既存の光学機を使いながら、自分たちで画像システムを作ってしまうようになりつつあることだった。つまりメーカー主導からユーザー主導に光学システムの開発の軸がシフトしている面があった。
コンシュマ向きのGoLiveなどが一例だが、その他CGのオートデスク社もデジタルカメラで何十枚かの画像にして、それらをコンピュータで処理して3Dデータにする無料アプリ「123D Catch」を提供しているし、画像・映像を活用する局面は増え続けている。ただフィルムカメラのような静止画だけの世界は縮んでいるということだろう。近年話題になったARとか3Dとかパノラマとか、それぞれ単体ではイロモノ的テクニックと見られがちで、それらに飛びついてビジネスを画策した人はがっかりしたかもしれないが、やはり身の回りではそれらが総体として徐々に増えていって、新たなビジュアル環境を構築しつつあると思う。
それはこれから紙のポスターがデジタルサイネージに置き換わる理由にもなると思う。たとえば山に登って周囲を見渡せばパノラマが自然であり、それを動画として撮って再現することはできても、動画では自分で視野をコントロールはできない。しかしパノラマ写真にして10分で1周するとか、また朝昼晩で光景が代わるとか、割と簡単なコントロールがデジタルサイネージでは可能になる。
撮影する方も従来の静止画のようにアングルを狙って決めてシャッターを押すのではなく、決定的瞬間の手前の溜めの部分から撮るように変わらなければならないだろう。デバイスが完成してもコンテンツ制作がまだ連動していない面はある。
デバイス開発から画像ツールからコンテンツ制作まで貫いた新たなビジュアルを語り合う場ができたらいいなと思う。
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