投稿日: Oct 12, 2010 10:29:47 PM
自分の仕事にクラウドが役立つかどうかと思う方へ
今日ではITは技術革新の代名詞でもあり、数年経つと新しいものに入れ替えなければならない。この移行措置が問題で、以前の処理プログラムをどうやって新しいプラットフォームに乗せるかが次第に難しくなってくる。以前はCPU速度の向上や記憶容量の増加というハード面の進歩が中心だったのが、言語やプログラミング技法、さらにネットの時代になってデータの入出力などフローの大きな変化が起こったからだ。従来システムを運用してた現場からすると、Javaの世の中でどうやって今までのCOBOLを動かすか、が問題になったりするが、今使っているものが古いシステムであればあるほどマイグレーションは大変になるし、無駄も多い。そんな世界にも「クラウドにしたらコストが下がる」という営業マンが訪れる時代となった。
クラウドは設備や運営コストを落とすためにあるのか? そういう面もあるかもしれないが、かといって社内に何もシステムを持たずに、すべてを外部の有料サービスに切り替えるところもないであろう。ありがちな間違いはITの技術革新についていく事が目的になってしまうことで、クラウドと名がつくものなら乗っておこうという主体性のない判断をすることである。そうではなくて、そもそもクラウドは記事『クラウドの新時代を告げる国勢調査』にあるように、エコポイントとかシステムの準備期間がない時でもすぐに使えるというところで始まったもので、コンピュータ応用を新たな領域に拡大する際に機動性を発揮する。だから日常のシステム運用の傍らで、新システムの先行テストをするような場合にはちょうどいい。
つまりシステムをどんどん作ったり更新したりする組織にとってはクラウドは都合がよいので、ビジネス革新を行っている会社はどんどん革新が促進される。これにより小さい会社で従来なら先行するシステム投資が困難なところでも、規模を気にしないで大きい仕事ができる。これは今世紀になってアメリカのベンチャーが1年2年のうちに何百万人以上の利用者登録管理をするようになっていることで実証されている。つまりネット上のビジネスでは、システム負担を気にせずに、アルゴリズムやサービスで勝負するバトルグラウンドが出来上がっていて、クラウドなしでは成り立たないところに来ている。こういった需要があるからデータセンタの建設もどんどん行われている。それは逆にいえば、ビジネスにおける戦いがコンピュータ利用の可否にさらに深く関係するようになったことでもある。
だから世の中はみんながコンピュータ上で競争するようになって、クラウド時代になるのか? 報道では、新しいIT技術やメディアで新しいことが起き、世の中が変わるような書き方が多いが、それは半分本当で半分は嘘である。本当の部分は前述のようなITで自己変革をする会社が伸びることで、それが世の中の様子を変えていく。しかし他方で革新を起こさない会社もある。新しいものに何も手を出さないで、今までどうりの仕事でも暮らしていける分野もある。大企業としては維持できなくて、しかも長期的には消えるような仕事かもしれないが、数十年くらい存続する業態は多くあるので、ビジネスの世界の半分近くは実際にはそれほど変わらないということでもあるのだ。
しかし未来に向けてビジョンを持とうとするならば、延命の考え方はマイナス要素になることを肝に銘ずるべきだ。