投稿日: Oct 25, 2013 2:3:1 AM
PCは下り坂だとしても
スマホ・タブレットの普及で一般の人がパソコンを買う必要が減ってしまったが、インテルのCPUも路線変更をしていて、それを参考に今後の予測を考えることも出来る。インテルはやはり生産能力においてはGHz競争をするならトップの企業であるので、万能最強CPU開発を続けるのだろうが、それがビジネス的には最大とはいえなくなった面がある。スマホ・タブレットは万能強力CPUではなく、機能を割り切ってバッテリーの持ちを良くすることが重要で、これはインテルの穴であったのだ。スマホ・タブレットはCPUで浮動小数点演算をバリバリする代わりに、描画・ディスプレイ専用のグラフィックプロセッサをもつことでマルチメディアに対応した。
インテルも機能削減して省電力化したATOMをウルトラモバイル向けに発表したが、ARMのCPUの牙城であるスマホ・タブレット市場には入れなかった。昨今やっとウルトラモバイルからタブレットに使える省電力のCPUが出てきて、クリスマス商戦にはWindowsタブレットもいろいろ並ぶようになるだろう。
しかしこの技術はモバイル機器に特化したものではなく、デスクトップやサーバのCPUにも適用される点がインテルの特徴で、今後サーバのCPU数が増えていくとか、デスクトップのマシンのCPUコア数が増えていくとかにつながるだろう。おそらくインテルはPCとともに斜陽にはならずに伸び続けるだろう。
一方でスマホ・タブレットで培ったARMのCPU開発はGHz競争には向かわず、CPUそのものは省電力の1GHz台でコア数を増やすことが進んでいる。待機電力を少なくして、必要なタスクの数に応じてその時だけ電気を使うような考えだろう。この分野はARMのライセンスを受けたインテル以外のメーカーが多く参入しており、サムスンなどの大半導体メーカーだけでなく通信関連チップメーカー、nVidiaのようなグラフィックチップのメーカーなどが競争をしている。
ARMベースの用途に絞ったCPU開発は、開発ツールが電子回路のCADを使って、レゴブロックのようなモジュール組み合わせ方式になっているSoC(システムonチップ)で、こういうツールは台湾メーカーなども開発している。それはいろいろな電気製品にスマホ的コンピュータが使われているからで、WiFiルータ用なら有線LANが必要でVGAは要らないがSATAはあったほうがよいとか、タブレットならタブレットなら有線LANやSATAは不要でUSBが必要とか、プリンタなら…ということをCAD上で処理するので、機器の組立ては何であってもほぼ同じようになり、中国でOKになってしまう。
SoCは将来の「モノのインターネット」につながる。というような流れをみていると、日本の半導体メーカーはこの間何を考えていたのかと不思議に思ってしまう。