投稿日: Oct 21, 2011 12:42:7 AM
日本独自の販売店の可能性を感じる方へ
記事『新聞は必要か?やっていけるか?』では、平均で10数分しか目を通さない新聞に専用の膨大な配布網を用意していることのアンバランスさを書いた。この問題は新聞社側がこれからどうするのかという課題と、現状の配布網をどうするのかという2つの課題を別個に考えなければならない。新聞というメディアを考える際にどうしても新聞社の側ばかりを考えてしまうが、配布網も大きな資産である。とはいっても経営的には販売店は別であって、これから新聞社がキツくなっていると拡張期のような支援はできなくなるであろうし、販売店側もチラシのような新聞社依存ではないビジネスで何とか伸ばせないかと自立の道を模索せざるを得なくなる。その動きはすでにあって、「新聞販売店イノベーション研究会」で、今後新聞販売店がエリアステーションになる可能性のプレゼンおよびディスカッションが行われたことを、記事『新聞をとりまくソーシャルビジネス』で書いた。
確かに既にいろんな取り組みがあって可能性の議論はつきないものの、実際には非常に大きな課題なので、急に業界が変身できるとは思えない。やはり10年20年の期間は必要であろうが、その間には先行する販売店と、ついていくのがやっとのところの温度差があって混沌とした業界のようにみえるかもしれない。しかしこの変革はどこも3段階くらいのステップを踏んで進んでいくのではないかと思う。このステップを踏む時期は各事業体によって異なるから、バラバラに見えるのだろうと思う。
第1段階 地域コラボ時代
まずは新聞販売店がエリアのハブとして機能し始める。販売店の経営や内部は今までのままで、公共団体やNPOなど地域の外部組織と連携した集配などの活動が始まる。新聞と同様に定期的に情報が出るものを扱うのが軸になるだろう。これは単なるポスティングと違って、新聞を扱うという信頼性の高さとかソーシャル性の上に、地域の情報伝達に役立つことをするということで、それ自身はそれほどの売り上げにならないかもしれないが、地域広告を扱う土台としては重要なことである。同時にエリアの情報ハブとしての人材・人脈の準備期間ともなる。
第2段階 脱新聞
これは経営とかサービス面の変化で、地域需要に即した流通の仕事などを広げて、新聞とかチラシ・ポスティングの比率を下げるという点で脱新聞の能力をつける時期であろう。これを焦って先行させようと思っても難しい。今までの新聞依存の考え方から、一般の事業と同じようなマーケティング、マーチャンダイジング、人事といったものを身に付けなければならないからだ。また地域で既に行われている何らかのサービスとのバッティングもあり得るので、何が成功モデルかは結構個別事情で異なってしまうだろう。
第3段階 新聞パートナー
以上の間に新聞社も変わってきているはずである。例えばちょっと前に話題になったのは、ヨーロッパのMetroのようなフリーペーパーの発行があるが、新聞社も重い腰を上げて新しい試みをせざるをえない時代になるはずだ。その時の広告業務とか、地域情報の収集・提供とか、各地域で独自に拠点化した立ち位置が、今度は新聞業界の末端ではなく、新聞のパートナーとして役立つ時が来るであろう。