投稿日: Sep 30, 2010 11:36:20 PM
アジアから元気をもらいたい方へ
過去何年かの間に中国と連携した仕事がグラフィックアーツの世界でも多くなり、しかも本格的になった。日用品の生産の非常に多くが中国に関係しているように、コンテンツの仕事も中国で作業するものが当たり前になろうとしている。これはアニメ・CGの方が印刷関係よりも先行しているのかもしれない。こうなった背景はインターネットBBの普及と、パソコンの普及がちょうど2005年くらいから中国のビジネスエリアと日本とで大差ない状態になったからである。別の見方をすると、パソコンとインターネットで行う仕事は世界中どこも同じように出来て、ライバルも世界中に居ることになり、安易なようで厳しい環境であるということである。
日本でも会社紹介で高層ビルのオフィスでパソコンの前に社員が並んだ写真を出しているところがあったが、今はその光景が日本か中国か韓国かベトナムか判断できないほどである。しかもアジアの若い人はアナログを知らないでいきなりPhotoshopだったり、プログラムはjavaから始まったりで、余計な勉強をしないで仕事に関係あるところから入っていく。スキルが短期促成で安く雇えるので、これでは日本の教育ママが投資をした若者が対抗しようとしても如何ともしがたい。今までの教育の目的がオフィスに勤務することでしかなかったなら、それは別の目標に変えなければならない。オフィスや作業場が世界均一になったとしても、そこで何かを興すことができる人間力というのが必要である。
中国の若者が日本に来るとか日本の会社に入ると、やはり居心地がよいようで、日本人はやさしいとか、穏やかな日本文化というのもそれなりに受け入れられる。どちらかと言うと過去の中国はヨーロッパの方を向いてる感じだったが、身に着けているものでは日本人の方が見た目に中国人に近いので、日本人が身に着けていてよさげに見えるものが受けるようになっていて、中国の都会の20前後の人で、特に日本企業に勤めている人はほとんど日本人と同じような格好をして、同じように暮らしている。しかし育った環境の違いで、芯は彼らの方がしっかりしているのではないかと思わせるところが目立ってきた。
彼らから見ると日本人のやさしさや優柔不断さが甘さとも見えるようで、こと自分の仕事となると中国人の方がシビアで、それが日本人に向かうと日本人はたじろぐ場合もあるが、いっそのこと彼らを管理職につけてしまうと、シビアさはうまい方向に行くこともあるようだ。しかし企業への忠誠心とかはないのが基本なので、一緒に働くことの意味を見出してもらわないと、組織の管理者にはなってもらえないかもしれない。つまり目的をちゃんと共有する組織でないと成果が上がっていく過程が見えないので、働き甲斐が見出せないということかなと思う。これは中国の経済成長の実態からすると極めて当たり前な感覚で、日本でも30年ほど前までは経済の右肩上がりという成長モデル自体が人々にやる気を提供していた。
かえって日本の職場を考えてみると、忠誠心の成れの果てとしての企業への依存心、目的が共有できないチーム、成果が出ない言い訳に日々頭を使うなど、放置しておくと滅びるしかない雰囲気がある。別にITベンチャーである必要はないが、個人の自律、チームの目的の明確化、前向きの工夫の積み重ねをしていくという、基本的なスタートに切り替える必要があるだろう。