投稿日: Nov 07, 2010 10:44:27 PM
メディアビジネスにビジョンを持ちたい方へ
日本でもネットやITをベースにしたビジネスをしている会社は沢山あるが、そういった会社が同じように将来に希望を抱いているとは限らない。次第に問題が山積みになっていると考えているところもある。たまたま仕事の流れ(受注機会)のある時に、それにふさわしい技術があったなら、立ち上げは速い。このように、その仕事をする条件が整っていたから成功した場合に、関わった人のスキルとしてはニーズとシーズ(技術)のマッチングをうまく見つけたというところにある。しかしそれに使う技術が複数あって、どれを使っても似たような結果が得られる場合もあり、例えば今の電子書籍というのもそうだが、技術選択の戦略的な判断が必要になる。システムをさっさと立ち上げるにはFlashを使いたくても、Appleが締め出していることを考えると、どうすべきかなど。
以前から、主要なアプリケーションやブラウザのプラグインの形で開発すると、少ない元手でできて、しかも売りやすい、使いやすい、といろいろ便利ではあるが、大元のアプリがバージョンアップして仕様が変わってしまうと、プラグインが動かなくなってしまう可能性もある。アプリの新しいバージョンに合わせて再開発しても、プラグインの利用者に対してはバージョンアップのサービス程度にしか思ってもらえず、新規の利用料金はとれない。開発費の追加が出せない場合は、利用者に元アプリを古いバージョンのまま使ってもらわなければならず、会社として信用を落としてしまうようなことは誰でも心当たりがあるだろう。利用者からみても安いソフトの安い秘訣というのをよく知って限界をわきまえて使う必要がある。
このようにヘタにITビジネスをするとドツボにはまってしまう。かつて顧客の業務を助けるシステムを作って「囲い込む」戦略を考えたところは多かったが、技術環境が変化し続けると、かえって囲い込み続けるコストが大変で、しかも顧客満足ならぬ「顧客不満」を増大させるものとなって、やめてしまうことになる。こうして何年か取り組んで消えてしまったシステムも相当あるだろう。しかし一方でネットのサービスでは1年で何十万ユーザを獲得するとか、無料サービスではFacebookの5億人、twitterの1.5億人など世界中に広がっていくものがある。これらは一見お金が動いていないように見えるが、サービスをするには裏でクラウドやデータセンタや回線のビジネスが回っている。そういったインフラ部分には堅実な投資がされているし、それを使うネットのサービスについても、何らかの将来性を見越しているからこそ、今は無料でも何らかのサポートとか投資が続いている。
ここから、ITビジネスとして一体何が期待されているかが判る。YouTube、SNS、Twitter、Ustream、というUGCが今までのマスメディアでは不可能だった部分を開拓し、それによって人々の視野が広がることの可能性、つまりメディアの進化として長期的に間違いない方向であり、インフラ投資に値するとか、その先鞭をつけるアプリにはアドバンテージがあるという認識だろう。日本では皮相的にネットに面白い情報があるという点で話題になる程度だが、アメリカはそれを社会性とかビジネス機会として重視しているという違いがある。日本人も海外居住者が増えるに従って、日本に居るときとは異なって上記のようなUGCの意味や役割を重要と考える人は増えている。とすると日本のマスメディア偏重とか情報統制の傾向は島国的な指向から来ているといえるかもしれない。逆に日本人も視野を広げるべきだという考えでメディアに取り組むなら、世界に通用する情報サービスになる可能性がある。