投稿日: Sep 02, 2014 12:6:36 AM
今年はベランダのプランターで「きゅうり」を、昨年は「ゴーヤ」を栽培しているが、このように種とか苗から植物を育てたのは初めての経験だった。その前の何年間は「土」を作っていた。そもそもは子供が小学生の頃に公園でカブトムシの幼虫を地中からほじくり出してきて、それを飼育したのが始まりだった。そのおかげで飼育用の「くぬぎマット」なる木片もだいぶ買った。また成虫の飼育のためには針葉樹(建材)のオガクズを近所から調達した。
子供が中高生になって飼育をしなくなったので、それらが残った。そこで住居の周囲を掃除した際の土埃や落ち葉、植物の枯れたモノなども一緒にまとめて何年間か寝かしておいた。それに地面の関東ローム層を足して、なんとなく土らしいものが大きめのプランター1杯分できた。そこに昨年ゴーヤを植えたのである。
ゴーヤの生育はすごいもので、プランターでは1日1回の水やりでは追い付かないくらいであった。できたゴーヤの実は、路地の栽培のものと比べると少し小さめであった。きっとプランターの土の容量に対して生やした苗の数が多すぎたのだろうと思った。
本当なら土の土壌改良をしてから今年何かを植えるべきだと思っていたのだが、近所で灰が手に入らなくて昨年のまま「きゅうり」を植えたら、うどんこ病的になってしまったし、実も最初のうちはちゃんとしたのができたのに、途中から栄養不足になって、あわてて100円ショップで「チッソ+リン酸+カリ」の錠剤のようなものを買ってきて栄養補給をした。また強風でネットが崩れて傷んでしまった部分を取り除いて、蘇生させたところ、再び写真のような実がなるようになった。
(写真の傷んでいる葉は栄養補給前のもので、上方のきれいな葉は栄養補給後に芽吹いたもの)
ごく大雑把に考えると、ゴーヤでもきゅうりでも収穫の総量は変わらない気がする。ゴーヤは茎が5本生えていたが、きゅうりは茎が2本である。要するに収穫量は茎の数ではなく土壌のキャパシティによると思える。その土壌のキャパシティというのはシビアに収穫に影響をしていて、容積だけではなく思った以上に「質」が問われるものだった。
このことは最初から予測できたことなので、くぬぎマットをベースに不要物を混ぜ込んで土を寝かしていた期間にも、菌糸のようなものはなるべく混ぜ込むとか保湿するとか、たまにかき回すとかしていた。そこで枯れた植物や木片がどのように土になるのか見ていたのだが3年くらいでは大して腐敗しない。でも関東ローム層の土に比べて保水効果は高いだろうということで混ぜ込んである。
このような土はある程度の栄養源にはなっても、ゴーヤの経験でいうと、すぐに栄養が枯れてしまった。そもそも特に生ごみとか腐葉土は入れていないのも枯れた原因であろう。ベランダで有機肥料を作るのは適さないのでやらなかったのだが、子供の頃の庭のある家では生ごみを堆肥化していたので、どんな植物も非常によく育った覚えがある。
それに比べると今回の人工の土のようなものは化学肥料を与えながらなので、水耕栽培に近いものがあるのかもしれない。農業にあてはめて考えると、土地利用という点では化学肥料に頼らざるを得ないことも理解できる。
もし有機農業を増やすとすると、現在活用されていない土地で大量に堆肥を作り出す必要がある。都会では公園の清掃と合わせて堆肥化をしているところもあるようだ。またプロの農業という点では河川敷とか傾斜地とかに何年か土を寝かせる場所を確保することになるのではないかと思う。休耕田なども堆肥を作るところにすれば、後の農業に活かせるかもしれない。
今ガラス・プラスチックや金属のリサイクルというのは日本に根付いているのだが、さらに日常生活とリンクした形で有機物のリサイクルができるようになるとすばらしい。ちょっとしたベランダの経験からではあるが、土を豊かにすることは国家的な課題であると思った次第である。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive