投稿日: Aug 11, 2010 11:6:42 PM
アイディアはあっても経営がピンと来ない方へ
アメリカを旅行して各地にタウンガイドなどがいろいろタダで手に入るのは便利だったが、今それは殆ど世界中どこへいっても見られるものになった。アメリカは広告モデルの情報の先進国であったわけだが、それも世界のいろいろな人が取り組むようになってアメリカが特別な存在ではなくなった。日本もリクルートなどが典型でさまざまな広告モデルを開発した。日本人は器用できめ細かいという特性がメディアつくりでも活きる場合がある。毎日の新聞に入るチラシもその一例で、同じ機能の媒体は世界中にあるものの、日本ほど入り組んだ作りのものはなかなかない。スポーツ新聞の一面も凝ったものである。このような様式化は、面白いものとして定着したとはいえるものの、そうでなければならないかを考えると、かえって自分のビジネスのフレキシビリティを縛る要素になることにも注意しなければならない。つまり自縛的になる可能性がある。
今メディア開発の主戦場はネットに移っている。単にホームページを制作しておいて置くだけということでは、ビューとかビジネスの足しにはならず、Webでどれだけサービスができるかを考えなければならない。SNSもチャットやショートメッセージという単純なものとは異なり、遊びやアプリや連携などの機能開発が勝負になった。日本でもゲームやARのようなアプリなどを独自に開発して、そういった拡大するSNSの世界に進出するベンチャーが増えつつある。印刷の時代から今までを振り返ってみても、日本人の創造性とかサービスの多様性があるし、開発力がアメリカに劣るとは思えない。しかし日本人はきっかけを掴んでもなかなかそれ以上に伸びないことも多かった。後から別の人が同じようなアイディアで成功したこともある。
日本でメディアによるサービスのビジネスモデルが大きく育てられないのは、なぜだろうか。リクルートのHotPepperはいったいどういうものかという問い合わせがAppleからあってレポートを作った人の話を聞いたが、Appleはアメリカにはないモデルとして感心していたそうだ。リクルートはいろいろなビジネスを開発しながら、それらをタイミングよく取捨選択して、伸ばすものは伸ばすという経営判断をして、大きな広告モデルを作ってきた。つまりサービスのアイディアや事業の立ち上げの先に、次のステップアップの展開の可能性を検討し、投資なり再編成をするところが弱いのが日本の特徴かもしれない。
リクルートのような大きな会社では事業の棚卸をする部署なり機会があっても、どうしても会社が小さいと他人の評価が得られにくいので、泣かず飛ばずでそのまま頑張ることになりがちだ。つまりサービスを作り出すのと、サービスをマネタイズすることと、スケールアウトすること、そういった流れをシミュレーションをして、ビジネスの時価評価を高くしていくという経営面の弱さで機会損失しているベンチャーが多くある。折角ビジネスを考えても死蔵しがちなのが日本であるともいえる。特にエンジニアから出発したメディアのベンチャー経営者や今までと異なるメディアを手がける経営陣は、ビジネスが見えてきた時点ではMBA的な資質が問われるようになる。