投稿日: Nov 21, 2010 3:31:40 PM
TVはあなどれないと思う方へ
ネット上では覇権を争っているような両者であるし、特に動画広告に関しては広告会社の買収とか新しい広告モデルでもぶつかりあう両者である。しかしWebの初期にはブラウザ開発を巡ってマイクロソフトとネットスケープの熾烈な戦いがあって、一挙にWebのコンテンツや市場が活性化したように、GoogleTVとAppleTVも、お互いの切磋琢磨を通じて既存のTV業界が手を出せないような新しいオンライン動画の世界を作り出してしまうかもしれない。
GoogleTVもAppleTVもTVと名をつけていても、TVと呼ぶべきものかどうか再考すべきである。つまりTVのコンテンツをネットで配信するものがTVなのか?TV放送ではないのだから、TVに使われたコンテンツのアーカイブ業者ともいえる。いまのところGoogleTVもAppleTVもオリジナル番組を作ってTV放送局になろうとしているのではないようだ。TV放送局はチャンネルというブランドを背負っている。個々のコンテンツはTVのブランドと密接に関連している。GoogleTVもAppleTVも既存のTVネットワークの番組を再送しているのでは、そのようなTVブランドにはなり得ない。両者は単に動画に関して広告ビジネスをしたいだけなのか、もっと動画配信自体に今までに無いものを目指してるのか、その辺はまだよくはわからない。
いずれにしてもはっきりしているのは、オンラインで動画を見る人が増えることは、既存TVとの間に新たな競争状態を作り出す。今はTV業界は見解が分かれているように見えて、オンラインではコンテンツを出さないところは恐怖感があるのかもしれないし、出すところはオンライン化で知名度が向上するというプラス思考だろう。実はこれは内容次第であるので、放送内容に自信のあるところと無いところの差であるかもしれない。これで評価の高いコンテンツはTV放送でもネットでも広告がつくであろうし、逆にTV放送の視聴率は下がり広告は減る局は衰退する。つまり今までの無料の民放が衰退し、有料のネットTVのモデルが市民権を得るのか、そうさせないで無料民放モデルが頑張りぬくかという競争である。
アメリカでは有料CATVがCMなしで映画やスポーツのコンテンツを提供した。日本ではTV録画が盛んだが、要するに広告スキップが視聴者には浸透してきた。無料民放モデルはこれらと戦えるのだろうか。GoogleTVもAppleTVもそろそろ市場に打って出る時期だと判断したのは、オンラインビデオレンタルのnetflixが伸びてきたからだろう。TV放送のチャンネルというブランドは、中を見ると幕の内弁当のようなもので、万人受けを狙ったものだったのが、多チャンネル化でCNNやMTVなどの専門チャンネルが生まれ、それらが今度は雑誌のように必要なところだけを購入するものに向かっているといえる。
今さらTVのチャンネルのブランド力に依存してやっていける会社はどれくらいあるのだろうか? どうみてもネットに有利な方向に時代は進むであろうが、既存のTV会社の体力がどれくらいある、その抵抗に耐えられるだけGoogleTVもAppleTVも長期戦を続けていけるのかどうか、など考えるべきところはいろいろあるように思う。