投稿日: Nov 15, 2014 1:46:29 AM
毎月通っている病院が、別の場所に移転してすべてが全く新しくなった。病院と言うと高齢者が多いので、従来のエレベーターを待って上がり下がりする建物構造を止めて、ドアを入ったならばエスカレーターで受け付けへ、(大方の高齢者は)その横の診察へ行けばよいような構造に変わり、大幅に流れがスムーズになった。建物の入り口はバスも入れるような車止めになっていて、そこを使う人は殆ど雨にも濡れない。大学病院など古い建物の場合は院内で迷子になりそうになるので、病院の構造的な見直しは必要なのだなと実感した。
しかし実際に入ってみると長蛇の列で、それはまだ利用者がシステムの変更に慣れていないために、本来自動化される受付端末とか他のセルフ的な機械操作に説明員ついて説明しているからである。これは時間が解決するであろうが、こういう利用者説明というハードルがあるとなると、あまり抜本的な改革を一気にするわけにもいかないと思った。
待ち時間を利用して、今回の投資対効果を考えてみた。一般には医療機器のデジタル化に沿ってカルテの電子化などが改革の目立つ点ではあろうが、そこは金の出ていくところであって、利益性という点では事務員の削減ではないだろうか。従来は総合受付の次に各診療科ごとの事務受付があって、そこで具体的な説明を受けたり、やり取りをしていたのが、一本化されている。
この一本化は、最初に診察カードを端末に差し込むと、本日の来館者番号が発行され、予約の内容が画面で確認を求められるとともに、何時からどの部屋で何をするというスケジュール表がA4でプリントアウトされ、その簡単な説明を受けるとその後は人との応対は無く、直接に検査室や診察室へ行くようになるものである。各検査室や診察室の待ち行列は自動で処理されていて、各部屋の表にあるサイネージに来館者の番号が出る。
電子機器としてはデジタルサイネージが大幅に増えているが、従来の待合室のテレビとかテレビ風の医療番組は無くなっている。事務処理もほぼプリントとバーコードばかりで、個別の電子端末はかえって整理されてしまったかもしれない。スッキリ感はあるが、医療分野向け専門IT業には苦しいところだろう。プリントも安い白黒A4レーザプリンタか、レシートのような感熱紙の紙片のどちらかに統一されて、帳票類の出番は全くなくなった。心電図の記録紙などもなくなった。その代り検査時の動画がサーバに残るようになっている。会計もATM風の無人のものになって、そこで領収証の下半分が次回の予約表になりこれもレーザプリンタだ。
紙のカルテも無くなった。検査結果は動画も含めてサーバーにアップされて、先生はそれを参照しながら画面にカルテを入力するのだが、検査機器が連動していてアプリ化しているものと、そうではなく検査技師が手でしているものもあるようで「どこにあるんだ!」みたいなやり取りがされていた。また私のかかっている先生は大学病院から週二回来ている方なので、どこに何があるのか、また画面のどこをどう操作するのか、説明員が横について診察をしていた。これらの操作をしながら、時々A4レーザプリンタで紙に出されて患者が受け取る。半年もすると、このやり方に先生も患者も慣れてしまうだろう。
以上の様子は決してITの最先端とは言えないかもしれないが、現実にサイネージと白黒レーザプリンタが印刷物を駆逐してしまった。次のシステム更新の際にはプリンタで出すのではなく、クラウドやスマホにデータやリマインダーを送る、本当のペーパーレス化になるのかもしれない。
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