投稿日: Jun 01, 2011 11:46:36 PM
次第にビジネスが細分化していると感じる方へ
商品企画から、流通、売り場、広報宣伝メディア、これらのすべてが抱えている課題が、大量生産・大量消費時代の遺物である現行のビジネスの枠組みからどうやって脱却するかである。記事『商品情報+売り場+メディア』では、商品の内容表示や説明文が増えてパッケージデザインにも編集の工夫が必要になった理由として、購入するしないの動機が個人の価値判断になっていることを書いた。流通ではデパートよりも専門店に、スーパーよりもコンビニに、というように細かい消費に分化している。メディアも個別対応ができるメールが多く使われるようになった。
大量生産が否定されるわけではないが、大量生産品でも個別の問い合わせに答えられるようになっていなければならない。だから情報システムと流通が変われば課題はかなり解決ができるようになるだろう。例えばネットスーパーのような配達が増えていることも一例で、昔の商店が御用聞きにまわって配達をしていたようなことを、ネットを使いながらやるようになったものである。大量生産の否定ではないといったのは、大量生産よりの前の社会に戻れということではなく、大量生産で失った部分を何らかの方法で取り戻すことにネットが使われているからである。食材の産地直送はその典型である。
このような視点でいろいろなものを見ると、ネットは世界中均一な情報伝達が可能であることの一方で、人が住んでいる近くの徒歩やチャリ行動圏という超ローカルな世界にもネットの利用分野が多くありそうである。Amazonは最初は書店が近くに無い人が本をネットで買う想定をしていたのが、都市部の忙しいビジネスマンが頻繁に使うようになったという話があった。ネットスーパーも一人暮らし高齢者などのニーズが高いかと思ったのが、忙しい主婦の利用が高かったという話とあっている。次第にサービスが浸透するといろいろなクラスターが利用するようになるので忙しい人が中心ではなくなる。今までネットビジネスのメインターゲットでないと思われていた層にもサービスをするようになるはずで、そんな段階になると超ローカルなビジネスも再び着目されるだろう。
超ローカルでまだ解決されていない問題はいろいろあるが、住民参加とかボランティアとか含めたソーシャルビジネスの出番であろう。ネットスーパー以外でも配達のニーズは高まっているが、それらを特定地域で効率的に行う仕組みを考えると、業種の垣根を越えるとか、従来の会社とは異なる経済でバランスをとる必要が出てきて、今までの経営感覚では難しく思えるが、ソーシャルメディアの時代に取り組みべきは、そういった企業社会で失ったものを取り返すことなのではないだろうか。