投稿日: Aug 26, 2014 1:27:23 AM
日本の国内産業は人口減少とともに右肩下がりを続けている。印刷は下降する産業の代表に入っている。随分前から業態変革が叫ばれてきたが、いざ実行となると決断力のある会社は非常に少ない。少ないが業態変革をした例はある。だから業態変革で生き残るという掛け声は嘘ではないが、それで生き残ってさらに発展できる会社は一部でしかない。個別企業としては業態変革は真剣に考えるテーマではあっても、旧業界のみんなが生き残る戦略とはならないだろう。
しかも業態変革は賭けであるので、決断力が問われるから、今まで戦略戦術に揉まれて方向転換をしてきた会社なら決断できても、今までが石橋を叩いて渡る経営をしてきた企業に業態変革をせよというのは、相当の無理がある。前述の生き残る会社は今までも業態変革をしてきたのである。
今さら必要があるのだろうかと疑問をもたれる印刷物に電話帳がある。
その昔は電話交換手というのが電話サービスの中心に居たが、自動交換機が作られるようになると交換手の一部は番号案内としての応答業務として残った。そのビジネスの発展形がコールセンターになっている。人の仕事として電話交換は不要になったが、オペレータのやるべき仕事は変革したのである。
電話帳は一般利用者に配られるものとは別に、局内で使われるものもあった。それは規模の小さい印刷物で、今ではデータベースアクセスで十分にまかなえるものとなっているだろう。一般向け電話帳がいつなくなるのか知らないが、小規模の電話帳の方からIT化は進むのである。
この印刷物の変化を考えるときに、カタログでも大規模なものは縮小しつつも意外と存続を続けるのだが、業務用のカタログはどは先にデータベースやECに代わってしまうことと似ている。つまり業態変革が迫られているのは小さな印刷需要が先であるということだ。
すでに名刺をネットで注文するのはあたりまえになって、今はペラものパンフなら印刷通販で用が足りるようになったように、小口需要の方が新システムに置き換えられやすいことがわかる。
また紙の電話帳を作るシステムからデータベースやらコールセンターまわりのシステムへの移行も行われていたことがわかる。一般電話帳はネットで検索するオンラインのイエローページサービスになる。電話帳の場合はNTTグループ内側の業務のやりくりをするという業態変革がされてきたことがわかる。
一般の印刷物の場合は外部の多くの会社が参画しているので、その業者群のなかでリーダーシップをとりながら新システムの提案ができる会社が業態変革できる会社になる。
このように考えると、今なくなりつつある印刷物の作成能力の代わりにどんな能力が必要であるのかがわかる。そして実際に得意先のニーズに合わせて業態変革をする会社はあるのだが、そのハードルは非常に高いことがわかるので、安直に業態変革は語れない気がするのだが、どうだろうか?
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