投稿日: Jul 06, 2013 1:10:26 AM
世界の中でも無難な中国の政策
中国は法輪功のような民間の団体が大きく成長することに神経を尖らせている。これは歴史的にみて社会を揺るがすような出来事が何らかの集団によってもたらされた経験からくるのであろう。中国が果たして本気で共産主義なり社会主義を理想と考えているのかどうかは定かではないが、きっと群雄割拠にしてはならないという合意はあって、共産党一党独裁の形式をとっているのではないかと思う。チベットとか少数民族(今世界に200ほども国があることを思うと、決して少数ではない民族もあるのだが)の問題も同様で、特に外国から干渉されて群雄割拠にならないように気を使っているから、対外的にも防御のための一党独裁になっている。
外国の介入による国家の分断は、満州国のこともあるし、また第2次大戦末期にアメリカがソ連にもちかけた朝鮮半島を38度線で折半する案のように記憶に新しいものがある。だから中国国民も中国を守るためには何党でもいいから一党独裁の一枚岩で世界の中に存在することを善しとしている。つまり社会主義・共産主義の何たるかとかは誰も議論はしていないのである。これは植民地時代は理にかなった態度であるとも思えるが、今となっては中国の土地を狙っている国はないので、経済侵略の防御のために一党独裁を使っているように思える。
以前ココム違反というのがあって中国にハイテク機器を売る日本の企業は検挙されたりして、パソコンの輸出も出来なかったのだが、IBMがパソコン部門を丸ごと中国に販売してレノボというPCブランドになったことがあった。アメリカなりIBMの考える国益と中国の考える国益は同期したので、このようなことが可能になったのだろうが、ココムを遵守していた日本はバカをみたことになる。東南アジアに行くと中国に警戒感はあるが、日本が何か画策しているのではないかという恐れは抱かれていない。むしろ日本の外交のポリシーの無さを指摘されるくらいである。
中国の経済発展を推し進めた解放政策とは「中国共産党」という名刺のエリート達が世界を相手にわたりあった結果であって、彼らの中で国益のためにやって良いことと悪いことが決まっていて、その原理を推測するに、ある程度の長期の計画があるように思える。それはアメリカよりも長期であろう。アメリカでも100年後のエネルギー確保のためにシェールガス・オイルの採掘に取り組んだように、日本に比べると長期的なビジョンを持っている。日本は首相が代わるごとにビジョンもパーになるような国なので、その場しのぎしかない。ここが日本が軽く見られる点であろう。
さて中国が将来にわたっても一枚岩のエリート集団によって経営されるのか、それともチャイナ7とかチャイナ9という人たちが同居できないような路線の対決が生じるのか判らないが、従来が外国の力に抗するための防御のための一枚岩であったならば、中国が経済成長を果たした結果として、将来のビジョンは多様化して一枚岩ではいられなくなる可能性は高い。まあ数十年先のことかもしれないが…
日本の課題は政党とかの問題ではなく、世界とわたりあえるエリート集団を形成できるかどうか、にあると思う。