投稿日: Jul 01, 2011 11:21:46 PM
この10年~20年にどんな進歩があったのかと思う方へ
7月1日にコンテンツ管理やツールの開発、業務のサポートをしている方々の『コンテンツのデジタル化でビジネス活性化』セミナーを行った(スライドショーあり)。このテーマは記事『データをサービスに変えるビジネス』に書いたように、10年~20年前から叫ばれていたものであったが、今日的な状況は過去とどう違って、どんな取り組みがされているのか、どんな可能性があるのか、ということを聞き出そうというセミナーである。
日本でXMLなどの代表的なツールやソリューションを提供している4人のスピーカーの話は、従来のこの種のセミナーに比べて範囲が広がっており、これはIBMを始めITベンダーもソフト開発から運用サービスにビジネスがシフトするとか、海外のオフショア開発もBPOに変わってきているような変化が反映している。これは技術ネタとしてみると新味がないようであるが、ソリューションという点で考えると、状況を一歩前進させるものになる。つまり従来の、業務分析→システム構築、というITの進め方が今は会わなくなってきた面があるということだ。
XMLデータベース・ネオコアを提供しているサイバーテックでは、フィッリピンセブ島の開発センターがWebやスマホ対応のアウトソーシングセンターとしての仕事をしていて、システムの構築よりも新たなメディアへの対応のニーズが待ったなしになっていることがわかる。そのために手作業や半自動処理の力技でも乗り切らなければならないところがあり、アウトソーシングをしながら次のシステムの準備をするような進め方をせざるを得ない。話の中では「理想と現実のギャップ」が大きい過渡期であることが時々触れられていた。
しかし何も進歩がないのではなく、このテーマが10年~20年前からあるといっても、自動処理をする内容は高度になってきている。アンテナハウスは図表を含む組版でページのまたがりに空白が出てしまいがちであるところを、図表の後の文を前に持ってきて空白を埋めるスマート組版エンジンを見せていたし、オープンエンドは複数レコードをグループ化したレイアウト・組み方とか、アプリケーション間をまたがって更新差分を同期させるものなど、過去には手作業で問題を起こしがちなところも自動化で高信頼にする方向で進んでいる。出版社や一般企業から更新されたデータを戻してほしいという要望が増えていることは、コンテンツホルダの腹の中に何らかの次段階の活用案があるということだろう。今はまだ顕在化している問題の解決におおわらわなのだろうが、コンテンツホルダの腹の中に対して、近未来のビジョンやソリューションを提案できるようになっておくことも重要だろう。
また10年~20年前と違って、アンテナハウスがブラウザ上で組版してPDFやePubを作るとか、オープンエンドがWordやExcelを入力・編集ツールにつかうなど、利用者の手元の環境で作業ができるような、デジタル編集が敷居の低いものになったことも大きな変化である。日本の組織に新たなシステムを持ち込もうとしても、ワークフローや組織変更が容易にはできないで立ち上がりが遅れることが多いことを考えると、目的・目標さえ明確になればアウトソーシングも含めてコンテンツのデジタル加工はすぐに始められる時代になったのだといえるだろう。