投稿日: Oct 15, 2014 1:23:16 AM
スマホを含めてこれほど多くの人がコンピュータ機器を使うようになったものの、コンピュータに関する理解はちっとも向上していない。これは自動車の免許を取得する人が増えても、一般の人には自動車の構造が全然理解されていないのと似ている。コンピュータも事前知識なしで直感的に操作できることを目指して進化してきたといえるので、構造に関する理解がないのは当然と言えば当然だが、コンピュータを仕事の道具として使う場合には、道具の知識として基本的なことは知っていないと困る。最近は「えっ!」と思うような質問があって、戸惑うことがある。
例えば「テキストファイルって何ですか?」というようなもので、画面から文字列をコピーして保存すると文字属性やリンクなどもタグで一緒についてくるのだが、Plainなテキストファイルが欲しい場合があり、それをどうするかである。
確かにスマホなどで文字を打っていてもファイルの存在は意識しないのだから、それが土俵をPCに移した途端に、ファイルの種類、という問題に出くわしたことになるのだろう。現在の中高生がどこか学校の授業でコンピュータやネットワークのことを学ぶ機会があるのだろうか?学校の中の部活としてはPC部とかがあって自作をしていたり、プログラムを作ったり、また工業系ならメカトロの授業などもあるが、全然コンピュータに関心がない人にはどの程度の情報が与えられているのか疑問だ。
昔は技術家庭科というのがあって、木工・金属加工・電気の配線、などもちょっとはやったのだが、それよりもコンピュータやネットの問題は切羽詰まったものではないか。つまり学校では安全面や道徳的な面でネットの話は出ているのだろうが、それは規制する方向の話になりがちで、なぜネットの見えない先に危険があるのかという仕組みはなかなか理解されないで、むしろそういったネットの危険な領域への好奇心を拡大させてしまうからである。つまり裏サイトのようなところのことは大人よりも子供の方がよく知っていたりする。だから大人が子供を守ってあげられないのかもしれないのだが…
安全とかは自己責任の部分もあるので他人が完全に保護できる話ではないが、コンピュータやネットの特質は手短に教えておくべきだろう。これが社会人になるとさまざまな資格試験があるので、企業では新入社員教育で基本的な資格をとらせるようになっている。中国でDTPの資格を開始した時に知ったのだが、北京大学などではエクステンションで職業資格をとれるようになっていて、大学生は入社前に必要な資格を取って求人に応募するようなのがあって、日本のようにやたらに形式的な就活の面接をするよりも実際的だなと思った。その時は印刷出版系の就職にカラーマネジメントを習得してもらうかどうかを検討していて、日本の「Word Execlが使えます!」とは相当レベルの開きがある。
要するに日本の大学生は就業するのに必要な要件を満たすという点ではアジアの中のよく勉強をする若者よりも甘やかされているという印象をもった。日本ではいつから高校時代の偏差値で人生の勝負が決まるような偏狭な意識が形成されたのだろうか。こういう意識の人はアジアの若者に追い抜かれていくだろう。
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