投稿日: Nov 01, 2010 11:16:8 AM
お客さんに「助かった」と言われたい方へ
GDPと印刷物の出荷額は世界的にはだいたい連動している。これはあらゆる産業で印刷が必要だからである。日本も高度経済成長があったが、発展途上国では印刷は景気に先行して動く。つまり経済が伸び盛りの国は、その伸びの程度を印刷需要で予測することができた。これは広告宣伝などの商業印刷物というのが商品に先行してつくられるものだからである。しかし日本ではバブルの後は印刷がGDPには先行しなくなり、印刷需要は鈍化した。それでも他の製造業ほど悪くはならなかった。
ところが今世紀に入って少し経って、景気を月単位で見た場合に、景気が下がるときは印刷も連動して下がるが、景気が持ち直しても印刷は上向きにならず、ちょっと時間を置いてから上向くという、景気の後追い傾向を示すようになった。紙の販促物が景気回復に先行して作られないのはどういうことだろうか。それは今急いで手を打たなければならないものには、印刷物の企画・制作・製造・配布が間に合わないからだろう。今ならWebやケータイやメールの販促の方がそんな場合に使いやすいのかもしれない。これらが実際度の程度数字に表れているのかは不明だが、印刷が間に合わなくても、他に間に合う方法が出てきたことは確かに言える。
従来の商業印刷のスケジュール感覚では秋口にはお歳暮関係の準備をしている。お歳暮のシーズンになって、印刷物を配布し終わってから、売場なり営業が戦場になる。そこではもう印刷の出番はないのである。その時に印刷は新年の売り出しのものを作っている。一方デジタルメディアは売場と連動して動くものであることは、昨今のクーポンへの期待ぶりからも見て取れる。以前天丼のテンヤのメルマガの話を聞いたときに、昼飯まえの11:30とかにケータイにメール配信して、来店するとトッピングが追加されるというキャンペーンが当たっていた。紙のクーポンに比べてコストは何十分の1であった。
印刷もPOD(オンデマンド印刷)であれば、かなり売場と連動したことができるはずだ。極端にいえばWebをプリントしてすぐ使えるような準備があれば、毎日現場で活用できるはずだが、そのためには結局デジタルメディアと同じ準備をしなければならない。要するに印刷するために情報処理とかプリプレスをしていたのでは、販売の現場から次第に遠ざかってしまう。オフセット印刷をしている会社は、「PODでどれだけ儲かるの?」と考えるのだろうが、顧客にどれだけ力になれるかというところからメディアビジネスを考え直さないと、生き残りがありえないかもしれない。