投稿日: Oct 21, 2014 1:8:35 AM
10月19日日曜日の午後9時からNHKで東京の100年を映像で見せる番組「カラーでよみがえる東京 ~不死鳥都市の100年」をしていた。明治時代から東京オリンピックくらいまでの白黒フィルムにカラーリングをして、時代の変化を見比べるような番組である。番組予告では白黒フィルムをデジタル化したあとでどのようにカラーリングするかの様子がちょっとでていたので、そのような技法も紹介されるのかと思ったが、そういうmakingの部分は放映されなかったようだ。
NHKは確か戦前の映画ニュースを買い取ったはずで、それらをデジタルにすることは相当行われていて、資料映像や夏の終戦記念日特集には使われていた。今回は色つけ作業の成果発表である。これはちょっと見えたところから判断すると、photoshopに似た操作で人の顔とか着物、空とか樹木とか地面、瓦屋根、看板などの部分にパスを切ってマスクを作って、コマからコマへとそのマスクをずらせていくような基本的には原始的な方法をとっているようだ。連続したコマへのマスクの当てはめはいくらか自動的にされているのかもしれない。まだ完成された技術ではないようだ。
問題はどんな色付けをするかであるが、日本人の肌色や頭髪は決まっているし、着物や看板の色もある程度の推測はつく。だいたい物体色は決まっているので過去の写真や絵画も参考になる。また戦争中ならアメリカのカラー映画、戦後になると日本にもカラー映画が残っているので、それらも参考にしただろう。映像全体としては、少しブルーバイオレットが強すぎると思うところもあったが、まあまあのデキだろう。ただ色の当てはめがにじんだようになっているのは、改善の余地があると思った。樹木などはにじんでいても違和感はないが、人の顔は肌色がはみ出さない方がいいだろう。これは今回はアルゴリズムで一律の処理をしたからそうなったのだろうと思う。
今回の番組の特長として民間に残っていたフィルムもデジタルにして、東京の各地の時代考証に使った点だろう。つまり関東大震災や空襲で過去の東京の資料の多くは失われ、人々の暮らしぶりや街の様子をそれぞれの年代で輪切りにして取り出すことは困難だったところを、民間の映像・画像で補っている。つまり現在残っている資料を総動員して歴史のジグソーパズルを埋めていく作業が、デジタルアーカイブでやりやすくなったということでもあるし、その中でカラーリングをすると随分と映像が認識しやすくなるものであるなあ、ということを感じた。
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