投稿日: May 19, 2014 12:45:4 AM
マーケティングはソリューションとは乖離している。
中国でユニクロだか無印良品だかわからないような偽日本ブランドで事業拡大しているようなニュースがあったが、日本も似たようなことはやってきた。マーケティングとかプロモーションの仕事に携わったわけではないが、傍から見ている立場からすると、トレンドはある段階までは恣意的に仕掛けていかなければならないし、勝負時が来ると捏造してでも上げ潮にもっていかなければならない時がある。
営業マンの口頭での説明では嘘でも今これが一番人気だとかは言うだろう。ところが証拠として残ってしまいそうなメディア利用では嘘の言い切りはできないから、何らかのデータを持ってこなければならない。そこで「アンケート結果によると…」みたいな切り口で市場における自社商品の優位を示そうとする。そういうコマーシャルを見ている方も数字は割り引いて受け取るであろうが、ずっと繰り返し見ていると次第に刷り込まれていく。
アンケート結果の数字など恣意的に操作できるものであるから、日本人が「自分もはじめなくちゃ…」と思うタイミングに背中を押す数字を出すテクニックというのは、すでにその筋の業界には定番としてあると考えられる。好ましいアンケート結果を得るには、誘導的な設問やら、調査対象の決め方やら、分母の作り方やら、いろんな手練手管があって、ある程度は結果は想定されアンケートは設計されている。
しかし設計手法だけではどの会社も同じようなことになってしまう。そこで数字の元となるサービス実態を変えて、良い数字を出すことが行われるようになった。フリーペーパーの発行部数のようなものである。アメリカでは昔から無料新聞というのがあって、ある地域の全戸配布とか、日本ではサンケイリビングのような専業主婦のいる家全戸への配布のようなもので、当然ながら数値上は有利な媒体となってビジネスが成り立つ。
それはネットの時代になってから輪をかけて起こり、いわゆる無料ダウンロードとか無料のクラウドサービスで短期間に膨大な利用者を獲得する「フリーミアム」である。これもダウンロード数、インストール数、アクティブユーザ数、アクセス数などいろんな数字の出し方があって、実際は数字で比較して何かがわかるようなものでもなく、単なる「トレンドですよ…」という形容詞に過ぎないものである。
こういったことをあれこれするのにも相当のカネが必要なわけで、カネをかけて利用実績のような数字を作り出しているのであれば、やはりこれは捏造ではないかと思う。
今クラウドがトレンドであり、やはり前述のようなマーケティングされている最中で、アプリやサービス提供者も、プロバイダやキャリアも、デバイスも、OSも、みんなで盛り上がりの気分であるとは思うが、その中にどれだけ捏造ではない必然があるのか見えにくくなっているような気がする。言い換えると本当にクラウドは必要なのか、というのはわからない。例えばXPがサポート終了して困るなら、XPユーザが安心して従来のデータを使い続けられるクラウドサービスが始まってもよさそうなものだけれども、そういうソリューションは見えないのである。