投稿日: Dec 17, 2012 1:54:21 AM
混沌を深める日本
衆議院選挙結果は事前の調査どうり、あるいはそれ以上に誇張された結果をもたらした。誇張というのは小選挙区制という仕組みが作りだす最大党への傾斜が起こる現象を指す。民主党がロクでもなかったというのは、実はこの選挙結果の要因ではないだろう。人々は自民党になっても日本の抱える問題があまり改善するとは誰も思っていないだろうから、そんな漠然とした国レベルの話ではなく、もっと生活者・自営業の立場で身近なテーマを優先した結果であると思う。言い換えると補助金や利権や諸々の現状の制度をいじってもらいたくないという意識は国民の中で強まっていると思う。
総論としての国の改革を強く求める人は維新などに流れたのであろうが、実は維新よりも具体的に改革政策を以前から訴えていた枡添氏や田中氏が浮かび上がらないことは、「改革」もムードでしか判断されていないように思える。官僚主導か政治主導かというのは制度の問題というよりも実力の問題で、政党が相当シンクタンク的な能力を高めない限りは官僚依存部分が減らず、いくら官僚にイヤミをいっても変わるわけが無い。維新は官僚を脅かせば何とかなると思っているかもしれないが、それは選挙向けのポーズにしかならないだろう。
また保守回帰というのは原発とか憲法とかの争点によるものではなく、もともとの自民党の下部構造である補助金や利権のつながりが復活したもので、これは日本が経済的に苦しくなればなるほど強まっていく傾向に思える。そして解決しない問題は外国が悪いということになって、悪循環に陥るのが歴史の常であった。今回の選挙でいえば、改革政策を訴えてきた人よりも2世3世議員のほうが票を集めたことが、改革はゴメンだという民意を表していると思う。
しかし国内の利権の駆け引きや予算の分配ばかりしていてもグローバルな日本の対応力は高まるはずは無い。つまりそういう国内政治が日本の舵取りをすることはできないということである。2世3世議員は小選挙区では勝ったかもしれないが外交・貿易が日本経済に大きなウエイトを占める時代にどんな役が立つのだろうか。これは官僚も同じなのだが…