投稿日: May 04, 2013 12:51:13 AM
怪しいビジネスがネットにはびこると思う方へ
ネットでの新しいメディアやコミュニケーションは、リアルな人や社会の変容とともに起こる。既存の枠組みの中で接木したようなデジタルメディアは成功しない、というのが今までの経験で得たことである。新しい関係というのは既存流通を壊したECに端的に現われているが、生産者や販売者と購買者が直結した先に何が起こるかという予測に、クラウドファンディングのようにコラボレーションで新しい商品を創り出すことが考えられた。しかし実際にはクラウドファンディングに難しさがあることを記事『ビッグデータの対極』では触れた。
特にモノ作りにおいては、最初のコンセプトや設計に対して試行錯誤することに意味があって、完成品が最初の設計道理でなくても大きな成功である場合は多いし、もし失敗してもそこで新たに経験を積んだことが別のところで花開くようになる。通常の発明や実用新案的な試みは失敗することの方が多い。やろうとしていることが革新的であればあるほどリスクは高くなっていく。それをクラウドファンディングで吸収できるのか、出資者は寛容に見守ってくれるのか、というのが難しさである。
寛容を求める点では、エコロジーや省エネ、代替エネルギーなど社会性のある事業とか商品の場合はクラウドファンディングにあてはまりやすいだろう。生産者側からするとよき理解者を増やしたいことと、マーケティングに役立てたいという2面があるだろうから、クラウドファンディングの価値はあろう。しかし売上を第一に考えるならば紆余曲折に伴う出資者とのいざこざというリスクなどを背負わずに、むしろ今すぐ出来るグルーポンのように既にあるものの共同購入を募る方が安全である。
しかしクラウドファンディはもっと怪しい人が目をつけてしまうような危惧がある。それは「投資信託」のようなものから、新蛭(ネオヒル)族の商材など、ネットのコモディティ化によって怪しいビジネスも加速しつつあるからである。つまり店も持たず、ある日突然現われて、ある日突然消えてしまうビジネスが容易にできるようになったので、ネットで急速に話が広がるものは要注意と思わなければならないだろう。