投稿日: May 24, 2010 11:23:34 PM
ネットメディアに翻弄されるのではないかと心配な方へ
この1ヶ月、JAGATを去るにあたってかたずけをボチボチやってきたわけだが、やはりいろいろやり残している。持ち越した課題というか、これからやるべきことは今起っている事象の解説ではなく、それらに携わる人々の考え方や指向をもっと理解することだと鮮明に思うようになってきた。電子書籍でも、電子教科書でも、日本では後退してしまったeJapanでも、 IT・ネットでガラガラポンはこれから産業のいろいろなところで本格的に起ろうとしている。しかしそれは一直線に進んでは行かないだろう。ベンチャーで会社を興すにも、既存のビジネスを革新するにも、いくらお金をかけて人も努力をしても、みんなが幸せになるという高度成長的なことはあり得ない。だから、ムダなこと、見当はずれなこと、遠回りすぎること、勘違い、希望的過ぎること、事前調査不足、コミュニケーション不足、意地っ張り、などなどに陥らずに、効率的な理解と運営ができることが非常に重要である。
なぜなら、日本の企業はいろんな事業を多角展開して成長してきたところが多かったが、そういったデパート主義は通用しなくなって、ユニクロでもtutayaでも丸井でもなんらか専門化しないと伸びられなくなっているように、またAppleもパソコンのラインアップを揃えるよりも一点突破で新しい時代を拓いてきたように、事業コンセプトが最大の資産になり、戦略が武器になるような知恵比べ社会へと、成熟化とともに変わっているからだ。近年のアメリカ発のベンチャーは、過去の錬金術まがいのベンチャーとは異なって、高学歴で、社内で議論を積み重ねるようなタイプに変化してきた。こういった会社が連携して社会に作用しようとしているので、それらと同期できるくらいのモノの考え方ができないと仲間に入れてもらえないだろう。
昨晩Twitterがサードパーティーのタイムライン内広告を全面禁止する発表をした。 http://bit.ly/98Ta0e これで安直なソーシャル広告代理は吹っ飛んでしまう。そうなることはTwitterが何を考えて今までやってきたのかを振り返れば簡単にわかることだ。特に広告やマーケティングの世界は、紙メディア電波メディアに続いてインターネットメディアが出てきただけで、広告やマーケティングの本質は変わらないと考えている人が多く、既存のマスメディアと同じことをネットでしてしまいがちである。まだ発展途上国は従来広告が有効だが、成熟社会では今までの顔の見えない広告の考え方はダメだからソーシャルに取り組む必然性がでてくる。つまり広告代理ではなくいろんなメディアをくぐりながらコンテキストを作る能力が必要になる。
BigPlayer各社の戦略を成熟社会のコミュニケーション問題として見るような再訓練が求められていると思う。