投稿日: May 31, 2013 12:9:34 AM
実はコピー論ではなくマスプロダクツの課題
有料コンテンツの違法コピーは泥棒と同じであるというキャンペーンがあるが、それが素直に受け止められているかどうかは疑問である。世の中では複写機でコピーするとか、ケータイ・スマホで撮影して情報共有することは日常的に行われているが、そこには泥棒行為をしている後ろめたさはないだろう。これらは私的複製というお墨付きの部分もあるからだ。CD-Rで音楽用として売られているものとデータ用として売られているものに物理的な差は無く、前者が著作権管理団体に保証金を支払うという区別がされているだけで、この背景には音楽用を買って商業音楽の私的複製はOKであることがある。
このようなダブルスタンダード状態での泥棒呼ばわりするのは、コピー販売している場合で、これは知財権でなくても不正競争防止法で取り締まるのが普通であるように思う。つまり著作権や知財権が確立していない部分でも模倣や不正なビジネスは取り締まれるのだから、海賊版対策には著作権や知財権は持ち出す必要はあるのかどうか、というのがよくわからない。
コピーが泥棒と異なる点は、原本が何の被害を受けないからだ。つまり実在するモノはA地点にあったのがB地点に移ると、もはやA地点には無くなってしまうが、コピーではA地点から失われないのだから泥棒にはならず、不正な取り扱いをしたということになろう。パッケージに許諾無くいかなるコピーしてはならないことを了解の上で利用するということが書いてあれば、利用者がコピーすれば権利剥奪で、コピー没収の上、商品を返さなければならないのだろうが、音楽や映画などマスプロダクツであると、いちいちそのようなことができないから、泥棒呼ばりで脅しているだけだと思う。
マスプロダクツは利用者を管理することが不可能で、テレビ・ラジオでもアナログ時代は私的複製は認められていたのに、デジタルになって複製の流布を恐れ禁止するようになったのは正当なのかどうかである。アメリカはYouTubeに楽曲がアップロードされると、それに購買のためのリンクをつけて、プロモーションの一部とみなすことが主流なのに、日本は削除を求めることが多いので、同じYouTubeでも場所によりけりで「あなたの地域では見れません」みたいなことが起こることがある。これは音楽家の許諾ではなく、日本での販売権をもつ会社がYouTubeに日本でもブロックを要求しているから起こる。
もし著作権や知財権の立場で考えるならば、音楽家がOKを出したものは世界何処でも見れるようになってなければいけないはずである。このことはクリエータの頭越しに著作権や知財権議論が迷走していることではないかと思う。