投稿日: May 02, 2014 12:18:45 AM
永遠の矛盾がある
今日ではこの地上で膨大な数のスマホが使われるようになっているが、それは最先端技術でも何でもなく、1980年代に開発されたARMアーキテクチャを中心に、液晶表示、白色LED、リチウム電池などIT以外の進歩を多数動員して生産されている枯れた製品であって、だからこそインドで何十ドルとか、Amazonが安いのを出すとか、価格競争時代に入っている。
その先のイノベーションのように言われる腕時計型のデバイスにしても、スマホのスケールダウンであり、基本要素は同じである。つまりイノベーティブなデバイスの競争は実はあまりされていないのが今日であって、見方を変えるとデバイス・ハードウェアの機能に対して応用がまだ追い付いていない状態であるともいえる。
だからスマホアプリの開発ベンチャーが雨後の竹の子のように登場してきたわけだが、昔からあるチャット系以外でなかなか新規にブレイクするものはない。どうもスマホは何でも屋になりすぎて、何をしても中途半端になっているのではないかと思う。
つまりスマホでメールが打てるとか、絵が描けるとか、動画の編集ができる、などの作業系のアプリを開発したところで、PCを使った方が生産性がよいとなると、スマホ用の開発コストは回収しにくい。スマホの有料アプリは一時考えられたほどには成長していないと思う。
スマホアプリは作業系よりは消費系でもっと伸びる余地はあると思うが、それはスマホ内部ですることよりも、サーバとかデータセンタ側のクラウドサービスに比重があり、ベンチャーにとっては初期投資とか膨大なデータと格闘する力技が大変な世界で、アイディアは示せても実証するのに何年もかかってしまう。
こういう世界ではスマホアプリは端末操作をするところの受託開発の域をでないだろう。
スマホに何かアタッチメントをつけて便利にするような開発の方向もあるが、それはWiiに操作のデバイスをつけてゲームをするのに似ている。しかしスマホの小さなCPUやメモリに過大な負担をさせるのは矛盾に満ちていて、スマホにキーボードやディスプレイをつけてパソコンの代わりをさせようとしたのがうまくいかないように、スマホ一丁あればよいという便利さに反する使い方である。
スマホが何でも屋としての威力を発揮しそうなところは、それが万能リモコンになりうる点だろう。だが家電品の操作や管理をスマホでしようという開発が目白押しだったのは、その後どうなったのだろう? これらは個々の家電の側から考えるべき問題ではなく、使用者側から総合的に検討することを始めなければならないのだろう。それがなければ前述のようないろいろな矛盾からは脱出できないように思う。