投稿日: May 30, 2013 6:0:55 AM
本気で取り組んでいる人はいるのかと思う方へ
将棋の名人がコンピュータ将棋に負けるようになりはじめた。過去の分析で最適解が見つかるようなものについては、人はコンピュータに勝ち目がなくなりつつある。マーケティング用に過去データを分析するのもビッグデータの時代であるというが、それは分析のアルゴリズムが定まっている場合には適用される話で、分析の目の付け所までコンピュータが判断してくれるにはまだ時間がかかりそうだ。しかし次第に分析のアシストをするようになるだろう。人間であっても経験力判断するような場合は、やはりパターンが決まってしまうからである。
管理野球という言葉があるが、選手や試合のデータだけの時代から、MoneyBallのように新人発掘というプロとしては未知数のところもコンピュータで分析させる時代になりつつある。これは少年たちの高校時代のデータを使うことになる。このことの意味するのは、データそのものも既存の手中のものだけではなく、新たに発掘しなければビッグデータで斬新な分析はできないということである。
先のアメリカ大統領選でギャラップなどの専門調査機関がオバマ不利説を出したのは、既存の調査範囲の人たちからの分析結果で、それに対してネイトシルバーは若くて選挙にはあまり行っていない人のデータまで調べることでオバマ有利を予測した。
過去の分析パターンから抜け出さないことにはビッグデータを処理をしてもスモールデータ処理と同じ結果になってしまうかもしれない。つまりネットの時代では調査の可能な範囲や、分析可能なデータが膨大に増えているので、そういった未活用のデータを活用する仮説があると、従来の常識以上の予測が可能になる(かもしれない)ということで、その新しい分野はコンピュータがするよりも、人間が汗をかかなければならない分野が多いし、何よりも新たな仮説を作る気づきが必要である。
別の言い方をすると、従来はSteve Jobs のようなひらめきのある人は、自分の直感を信念にして新しい事業に突き進んだのだろうが、今は自分の直感をビッグデータ処理である程度検証してから事業化するということも(やろうと思えば)できる時代なのだろう。しかし実際にはまだありもしない賞品や事業のためにデータを集めまくって処理して考えるような余裕のあるところは滅多にないだろう。おそらくビッグデータ処理の当面の主流は大学などでの研究調査が一番いいのではないだろうか。
むしろビジネス分野では、今までデータ化されていなかったものがデータ化された際に、そこからビジネスにつながる何かを感じ取る直感の方が求められているのではないだろうか。