投稿日: Nov 03, 2015 1:2:9 AM
マンションなどの基礎工事の杭打ちで施工データが改ざんされていたことがニュースになっていて、大手系列の工事会社でも過去十年分をみると1割はいい加減なデータが報告されていたことがわかった。これはISO9000以降、コンプライアンスが叫ばれてきた時代に於いても、現場では意識が全然浸透していなかったことをあらわしている。
そもそも基礎工事は見えない部分なので、杭打ちそのものがちゃんと施工されたことをデータで証明する必要があって、データの添付をするようなルールになったのだろうが、それを第3者が検証とか管理するようにはなっていなかった。単なる自己申告で終わってしまうものだった。
今怪しまれている工事会社の10年分の施工のうちで6%は元請が倒産していて無いという。要するにゆとりのない業界事情がうかがえる。また建物の耐震における杭打ちの寄与度というのが十分に認識されていたのかどうかもわからない。もし関連業者がみな重要だと感じていたならば、発注元であるゼネコンなども工事に居合わせてチェックをしたであろうが、そうせずに下請け工事業者にまかせっきりであった例が結構あるからである。だから工事の現場責任者のインチキもずっと放置されたのであろう。
また今回のマンションが少し傾いたことで発覚した件は、現場責任者が契約社員であったという。これも会社側がこの仕事がどれくらいの責任を負っているかについて軽く考えすぎていたことをあらわしている。実際問題として傾斜のバレたマンション以外では3.11の震災前の物件でも特に異常は無いようだから、実際の工事のやり方は現場の『杭打ちはこんなもの』という感覚でも間違ってはいなかったのだろうが、会社として管理体制がなっていなかったということだ。
今のコンプライアンス対応はいろいろな業務に関してチェック体制を増やしていく方向にあるが、下手をすると余計な仕事が増えていくことになりかねない。だからあまり人が介在しなくてチェックが出来てトレースができるITの仕組みを考えなければならない。電車のトークン紙の定期券や切符などからICタグになることで、改札業務は無人化し、しかも改竄や不正が困難になったような、効率化と精度向上を同時にもたらす管理のイノベーションが必要になるだろう。
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